学費を大学に都度払えば贈与税はかからない?必要な都度、直接学費に充てる教育費は非課税で0円
国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」によると、親子などの扶養義務者から、生活費や教育費に充てるためにもらった財産で、通常必要と認められるものには贈与税がかかりません。教育費とは、学費や教材費、文具費などを指します。
- 【非課税になる渡し方】入学金や授業料を払う時期に、必要な額を親が直接払う、または子に渡してそのまま支払いに充てる
- 【贈与税がかかる渡し方】教育費の名目でまとめて渡したお金を、子が預金したり、株式などの購入に充てたりした場合
親のNISAで積み立てておき、入学金や授業料を払う時期に必要な分だけ売って払えば、同じ私立大学4年分の約480万円でも贈与税は0円です。贈与税がかかるかどうかは、金額よりも、渡すタイミングと使い道で決まります。
子ども名義のNISAで積み立てるなら?2027年からの未成年向けのつみたて投資枠は年60万円まで、毎年の贈与は110万円以内でも約束の仕方に注意
金融庁「NISAを知る」によると、2027年1月から、つみたて投資枠の年齢要件がなくなり、0歳から17歳の子どももNISAを使えるようになります。年間の投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円で、成長投資枠は使えません。
- 【払い出し】17歳までは原則としてできない。12歳以降は、子のための使い道で子の同意があれば、親権者などの申し出で払い出せる
- 【私立大学4年分を0歳から積み立てる場合】年約26.7万円で、年60万円の枠に収まる
- 【毎年少しずつ渡す場合の贈与税】私立大学4年分を0歳から毎年約26.7万円ずつ子に贈与して積み立てれば、毎年の贈与は110万円以下なので贈与税は0円(国立大学なら毎年約13.5万円で0円)
ただし、国税庁「No.4402」のQ&Aでは、たとえば「毎年100万円ずつ10年間贈与する」と最初に約束した場合は、約束をした年に、10年分の総額を受け取る権利(定期金に関する権利)の贈与として贈与税がかかるとされています。毎年、その年ごとに贈与の契約をして渡すことが前提になります。
また、国税庁「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例」では、子ども名義の預金でも、親が資金を出して管理していたものは親の財産として扱われる例が示されています。子ども名義で積み立てるときは、贈与の記録を残しておくことが大切です。
【証券会社出身の視点】検証:学費の差は約2倍でも、一括で渡すと贈与税は約3.4倍に開く
私立大学4年分の約480.3万円は、国立大学4年分の約242.5万円の約1.98倍です。ところが、18歳で一括で渡したときの贈与税は、私立の約45.5万円に対して国立は約13.3万円で、約3.44倍の差になります。
贈与税は、110万円を超えた部分にかかり、金額が大きくなるほど税率が上がる仕組みです。私立大学の場合は110万円を超える部分が約370万円で税率15%の区分に入るのに対し、国立大学は約133万円で税率10%の区分にとどまります。渡す額が2倍になると、税は2倍以上に増えることになります。
- 【一度に贈与税なしで渡せる額】110万円まで(私立大学4年分の約23%)
- 【私立大学4年分を110万円以内に分けて渡す場合】最短で5年(毎年の契約が前提)
資産運用のご提案では、どの口座で、どれだけ増やすかに目が向きがちです。ただ、家族のための資産は、増やし方と同じくらい、誰の名義で持ち、どのタイミングで渡すかで手元に残る額が変わります。使い道が学費と決まっているなら、渡し方を先に決めておくと、どの名義で積み立てるかも決めやすくなります。
※試算の前提は前章までと同じです。
まとめ
この記事では、親のNISAで積み立てた大学費用を子どもに渡すときの贈与税をご紹介しました。私立大学4年分の約480万円を18歳で一括で渡すと贈与税は約45.5万円、学費を払う時期に都度直接払えば0円という試算でした。
2027年からは、子ども自身の名義で、つみたて投資枠を年60万円まで使えるようになります。親の口座で積み立てて都度払うか、子どもの口座に毎年贈与して積み立てるかは、使い道と時期を確かめたうえで選ぶとよいでしょう。贈与税の扱いで迷うときは、税務署や税理士に確かめることができます。
免責事項
- 本記事は、2026年10月時点の制度や公表資料をもとに作成しています。
- 本記事の試算は一定の前提に基づく概算で、実際の税額は、贈与の時期や金額、ほかの贈与の有無によって異なります。
- 特定の金融商品の購入や売却をすすめるものではありません。
- 贈与税の申告や個別の判断については、税務署や税理士などの専門家にご確認ください。
SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)出身。証券外務員一種保有。富裕層や法人に向けた資産運用コンサルティングに従事。現在は株式会社モニクルリサーチにて、複数のWebメディアで金融記事の企画・執筆・監修を行う。