窓口の支払いを上限までにするには、マイナ保険証か限度額適用認定証を使う
厚生労働省のページによると、医療機関の窓口で、月ごとの上限額を超える分を支払わずに済ませるには、マイナ保険証を使うか、事前に「限度額適用認定証」を入手する必要があります。交付の手続きは、加入している健康保険組合、協会けんぽ、市町村などに問い合わせます。
大阪市の国民健康保険の案内では、オンライン資格確認等システムを導入している医療機関を受診する場合は、限度額適用認定証の申請は不要です。導入していない医療機関を受診する場合は、事前に区役所で申請し、認定証を提示します。
住民税非課税世帯の区分は「限度額適用・標準負担額減額認定証」で、入院時の食事代なども減額されます(大阪市の案内)。保険料の滞納があると、認定証が交付できないことがあります。
年間上限の分は、令和9年8月1日以降に支給申請をする(大阪市の例)
大阪市の案内によると、年間上限は、令和8年8月1日から令和9年7月31日までの1年間に受けた自己負担の限度額で、令和9年8月1日以降に支給申請をします。厚生労働省のページも、年間上限に達したあとの分は還付を受けられるとしています。
申請できる期間(時効)は、診療を受けた月の翌月1日から2年以内です。支給は、申請から約4か月から6か月後で、審査の内容によってはさらにかかることがあると、大阪市の案内にあります。
限度額の区分は、毎年8月1日現在の前年の所得で判定し、翌年7月まで適用されます(大阪市の案内)。世帯の構成の変更や所得の更正があると、さかのぼって区分が変わることがあります。取扱いは保険者によって違うため、加入先に確認してください。
令和9年8月からは、70歳未満の区分が13区分に細分化される予定
厚生労働省のページによると、令和9年8月からは、応能負担の観点から所得区分をよりきめ細かくし、現在の限度額から著しく増えないよう配慮しつつ、区分の細分化を行います。ここでは予定として、資料の表の数字を紹介します。
資料の令和9年8月からの表では、標準報酬月額が28万円から34万円の区分は、月額上限が8万5800円+(医療費−28万6000円)×1%のままです。44万円から50万円の区分は、11万400円+(医療費−36万8000円)×1%になります。
同じ医療費100万円で当てはめると、44万円から50万円の区分は、令和8年8月からの9万2940円が、11万6720円になり、2万3780円増える計算です(編集部試算)。多数回該当は、標準報酬月額15万円以下の区分で、4万4400円から3万4500円に下がります。
【編集者の視点】
高額療養費は、月額上限、多数回該当、年間上限の3つの数字が、区分ごとに決まっています。まず自分の区分を知らないと、どの数字を見ればよいのかが分かりません。
区分は、年収ではなく、標準報酬月額や所得で決まる点に注意が必要です。年収の目安だけで判断せず、保険証を発行している保険者に、現在の区分を確認する方法が確実です。
令和9年1月からは、療養、育児または介護と仕事を両立するために勤務時間を短縮して報酬が大幅に減った人について、自己負担限度額の算定の基礎となる標準報酬月額の特例が始まる予定です(厚生労働省のページ)。対象になりそうな人は、勤務先や保険者に早めに聞いておくと安心です。
※本記事は、編集部が厚生労働省と自治体が公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。
まとめ
- 令和8年8月診療分から、70歳未満の月額上限は5区分すべてで上がり、新たに年間上限(令和8年8月から令和9年7月まで)ができました
- 年収約370万円から約770万円の区分は、月額上限が8万5800円+(医療費−28万6000円)×1%、多数回該当が4万4400円、年間上限が53万円です
- 医療費100万円の月は、この区分で8万7430円から9万2940円に増えますが、毎月続く場合は年間53万円で止まります(編集部試算)
- 窓口の支払いを上限までにするには、マイナ保険証か限度額適用認定証を使います
- 年間上限の分の支給申請は令和9年8月1日以降で、同じ時期に区分の細分化が予定されています
高額療養費は、月の上限だけでなく、多数回該当と年間上限をあわせて見ると、長く続く治療の負担の見通しが立ちやすくなります。区分の判定は年収ではなく、標準報酬月額や所得で行われる点も、押さえておきたいところです。
まず、保険証や資格確認の画面で、加入している保険者を確認してください。そのうえで、保険者の窓口に、現在の区分と、窓口での手続き、年間上限の申請の時期を問い合わせましょう。
よくある質問
Q. 高額療養費制度とはどのような制度ですか?
A. 医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が上限額を超えた場合に、その超えた額を支給する制度です。上限額は、年齢や所得に応じて定められています。
Q. 令和8年8月から何が変わりましたか?
A. 月額の上限額が見直され、新たに年単位の上限額(年間上限)が設けられました。多数回該当の金額は据え置かれています。
Q. 年間上限はいくらですか?
A. 70歳未満では、年収約1160万円以上が168万円、約770万円から約1160万円が111万円、約370万円から約770万円と約370万円以下が53万円(年収約200万円以下で該当が確認できた人は41万円)、住民税非課税が29万円です。
Q. 多数回該当とはどのような仕組みですか?
A. 直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合に、4か月目以降の自己負担限度額が下がる仕組みです。
Q. 限度額適用認定証は必ず必要ですか?
A. マイナ保険証を使えば、事前の認定証が不要になる場合があります。マイナ保険証を使わない場合や、医療機関が対応していない場合は、事前に保険者へ申請して認定証を入手します。
Q. 差額ベッド代や入院中の食事代も対象ですか?
A. 大阪市の案内では、室料差額(差額ベッド代)や歯科の材料差額などの保険診療外の費用と、入院時の食事代などの自己負担額は、高額療養費の対象外です。
元厚労省担当の専門紙の新聞記者。公的社会保障(年金・医療・介護)やNISA・iDeCoを横断分析。難解な一次データを生活者視点に翻訳し、知っておきたい家計防衛の知見と、安全で実用的な情報を提供。