NISAで積立投資を始めたものの、毎月いくら積み立てればいいのか、目標がはっきりしないまま続けている方もいるでしょう。老後に向けて「2000万円」をひとつの目安にしたいと考える方も多いのではないでしょうか。
金融庁によると、NISAのつみたて投資枠は年120万円(月10万円)まで、生涯の非課税保有限度額は1800万円です。目標額と期間が決まれば、運用の利回りを仮定することで、毎月の積立額を逆算できます。
この記事では、NISAで20年後に2000万円を作るには毎月いくら積み立てればいいのかを、利回り別にシミュレーションします。
20年で2000万円に必要な積立額は、利回りで大きく変わる
毎月同じ額を積み立て、一定の利回りで複利運用できたと仮定して、20年後に2000万円になる毎月の積立額を計算しました。
年5%なら月4万8658円
- 年0%(運用しない):月8万3334円(元本2000万円)
- 年1%:月7万5313円(元本1807万円)
- 年3%:月6万920円(元本1462万円)
- 年5%:月4万8658円(元本1168万円)
- 年7%:月3万8394円(元本921万円)
年5%で運用できれば、毎月4万9000円ほどの積立で、20年後に2000万円に届く計算です。このとき積み立てる元本は1168万円で、残りの約832万円は運用で増えた分です。
反対に、今の積立額から20年後の金額を見ることもできます。たとえば月3万円の積立なら、20年後は年5%で約1233万円、年3%で約985万円です。2000万円に届かせるには、年5%の場合で月5万円(20年後に約2055万円)ほどが目安になります。
なお、ここでの利回りは「毎年この利回りで増え続けた」と仮定した計算です。実際の投資信託の値動きは年によって上下するため、あくまで積立額を考えるための目安として使いましょう。
利回りが1%以下だと、NISAの枠が足りない
NISAで非課税で持てるのは、買った金額(簿価)で1800万円までです。年0%なら元本2000万円、年1%でも元本1807万円が必要になり、どちらもNISAの枠を超えてしまいます。
利回りが低いと、NISAだけでは20年で2000万円に届かず、課税口座も使うことになります。NISAの枠の中で2000万円を目指すなら、ある程度の利回りが前提になるといえます。
20年で2000万円を作るなら、利回りによって必要な元本が1000万円以上変わる
始めるのが遅れると、毎月の積立額はこれだけ増える
同じ2000万円でも、積み立てる期間が短くなると、毎月の積立額は大きく増えます。期間を20年・15年・10年に分けて比べました。
- 20年:年3%で月6万920円、年5%で月4万8658円、年7%で月3万8394円
- 15年:年3%で月8万8117円、年5%で月7万4826円、年7%で月6万3099円
- 10年:年3%で月14万3122円、年5%で月12万8798円、年7%で月11万5551円
年5%の場合、20年なら月4万8658円で済むところ、10年では月12万8798円と、2.6倍以上になります。
10年では、つみたて投資枠の月10万円を超える
つみたて投資枠で積み立てられるのは月10万円までです。10年で2000万円を目指す場合、年7%でも月11万5551円が必要で、つみたて投資枠だけでは足りません。
不足分は成長投資枠(年240万円まで)を使って積み立てることになります。期間が短いほど、NISAの2つの枠をどう使うかも考える必要があります。
期間が10年になると、つみたて投資枠の上限を超えてしまう
NISAで積み立てると、課税口座より約169万円有利
年5%で20年積み立てた場合、元本1168万円に対して、運用で増えた分は約832万円です。課税口座で運用していれば、この利益に20.315%の税金がかかり、税額は約169万円になります。
NISAなら運用益が非課税なので、2000万円をそのまま受け取れます。同じ積立額でも、手元に残る金額に大きな差が出ます。
2000万円を目標にするときの注意点
シミュレーションはあくまで目安です。積立額を決めるときは、次の2点も考えておきましょう。
利回りは約束されたものではない
投資信託の値動きは毎年違い、同じ年5%でも、ある年は大きく上がり、ある年は大きく下がることがあります。計算どおりの利回りになる保証はなく、20年後に2000万円に届かないこともあります。
目標に届かないリスクを減らすには、利回りを低めに見積もって積立額を多めにする、少しでも早く始めて期間を長くする、といった方法があります。
物価が上がると、2000万円の価値は下がる
日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」としています。物価が毎年2%ずつ上がると、20年後の2000万円は、今の価値に直すと約1346万円にとどまります。
20年後に今と同じ暮らしを支えるには、2000万円より多くのお金が必要になる可能性があります。目標額は、物価の上昇も考えて見直していくことが大切です。
まとめ
NISAで20年後に2000万円を作るには、年5%で運用できた場合で月4万8658円、年3%なら月6万920円の積立が必要です。利回りが1%以下だと元本が1800万円の枠を超え、NISAだけでは届きません。
始めるのが遅れて期間が10年になると、年7%でも月11万円を超え、つみたて投資枠の上限も超えてしまいます。少しでも早く始めることが、毎月の負担を小さくするいちばんの方法です。
まずは、今の家計で無理なく続けられる積立額を確かめ、その額で20年後にいくらになるかを計算してみましょう。そのうえで、物価の上昇も踏まえて、目標額と積立額を年に1回見直すと安心です。
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一種外務員資格(証券外務員一種)。三菱UFJ銀行や三井住友信託銀行にて、資産運用アドバイザーとして10年以上の経験を持ち、現役世代から富裕層まで延べ1000名以上のコンサルティングに携わる。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで金融関連記事を企画・執筆・監修を行う。