夫に先立たれた妻の年金生活者支援給付金を試算
では、冒頭の声に近い例で、夫に先立たれる前とあとの判定を比べてみます。
試算の前提
- 妻は69歳(1956年4月2日以後生まれ)で、保険料を納めた期間は420月(35年)
- 妻自身の年金は、老齢基礎年金が年74万円、老齢厚生年金が年6万円
- 夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)は年160万円で、夫には住民税がかかっていた
- 夫婦2人暮らしで、夫に先立たれたあと妻はひとり暮らし。妻に住民税はかからない
遺族厚生年金は年114万円
遺族厚生年金の額は、原則として夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。この例では160万円の4分の3で、年120万円になります。
65歳以上で自分の老齢厚生年金がある妻は、夫の報酬比例部分の2分の1と自分の老齢厚生年金の2分の1を足した額(83万円)とも比べ、高いほうの120万円が遺族厚生年金の額になります。そこから自分の老齢厚生年金の6万円を差し引いた年114万円が、実際に支給される遺族厚生年金です。
例)69歳の妻・夫に住民税がかかっていた場合 夫に先立たれる前とあとの年金生活者支援給付金
- 【夫に先立たれる前の年金収入】年80万円(老齢基礎年金74万円+老齢厚生年金6万円)
- 【夫に先立たれる前の判定】判定に使う額は80万円だが、同じ世帯の夫に住民税がかかるため対象外
- 【夫に先立たれたあとの年金収入】年194万円(うち遺族厚生年金114万円)
- 【夫に先立たれたあとの判定】判定に使う額は80万円で、世帯は妻だけ・住民税は非課税
- 【給付額】月4918円(年5万9016円)
判定に使う額は80万円のまま
夫に先立たれたあと、妻が受け取る年金は年194万円に増えます。しかし、判定に使うのは遺族厚生年金を除いた80万円で、82万6500円以下に収まります。
給付額は、5620円に納めた期間の420月を掛けて480月で割った月4918円です(計算結果の50銭以上は1円に切り上げ)。冒頭の声のように、夫の住民税で対象外だった妻でも、この例なら12か月で5万9016円を受け取れる試算になりました。
夫に先立たれたら年金生活者支援給付金の請求は早めに
夫に先立たれて対象になる可能性があると分かっても、請求しなければ給付金は支給されません。ここでは、請求の時期で受け取れる額がどう変わるかを確かめます。
はがきを待っていると
日本年金機構は、市町村から毎年届く所得情報をもとに判定し、新たに対象になる人へ9月ごろから順次はがき型の請求書を送っています。一方で同じ年金Q&Aには、世帯構成の変更などで要件に当てはまるようになった場合は、自分で認定請求の手続きが必要とも書かれています。
そして同法の第6条では、給付金の支給は、請求した日の属する月の翌月から始まると定めています。災害などやむを得ない理由がある場合を除き、請求が遅れた月の分はさかのぼって受け取れません。
請求が4か月遅れると
試算の妻が、2026年11月に夫に先立たれた場合で比べます。11月中に請求すれば12月分から支給されますが、請求が2027年3月になると、支給は4月分からです。
例)2026年11月に夫に先立たれた場合 請求した月で変わる年金生活者支援給付金
- 【2026年11月に請求】2026年12月分から支給
- 【2027年1月に請求】2027年2月分から支給。受け取れないのは2か月分の9836円
- 【2027年3月に請求】2027年4月分から支給。受け取れないのは4か月分の1万9672円
月4918円でも、4か月遅れれば2万円近くになります。夫に先立たれた直後は手続きが重なりますが、給付金の請求も早めに済ませておきたいところです。
遺族厚生年金の請求とあわせて
遺族厚生年金の請求は、年金事務所か街角の年金相談センターで行います。その際に、給付金の対象になるかどうかもあわせて相談しておくと、請求が後回しになりません。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。