年収の壁に代わる「週20時間」は契約で決めた時間で数える
では、週20時間はどの時間で数えるのでしょうか。厚生労働省の「適用拡大 Q&A」をもとに、数え方を順に見ていきます。
例)契約で決めた労働時間が月80時間と月88時間の場合 社会保険の「週20時間」の判定
- 月80時間:週あたり約18.5時間、週20時間未満のため契約の時間では対象外
- 月88時間:週あたり約20.3時間、週20時間以上のため加入の対象
- 月80時間の契約で実際の労働時間が2か月続けて週20時間以上になった場合:その後も続く見込みなら3か月目から加入
- 週20時間を月に直すと:約86.7時間
契約書や労働条件通知書に書かれた時間
週20時間を数えるのは、実際に働いた時間ではなく「所定労働時間」です。所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書などで決まっている、ふだんの週に働く時間のことを指します。
そのため、残業で実際の時間が一時的に週20時間を超えても、それだけで加入することにはなりません。
月単位の契約は週に直す
シフト制などで労働時間が1か月単位で決まっている場合は、1か月の所定労働時間を52/12で割って週あたりの時間を出します。52/12は1年の52週を12か月で割った数で、およそ4.33です。
この計算だと、週20時間は月に直して約86.7時間です。たとえば月80時間の契約なら週約18.5時間、月88時間なら週約20.3時間になります。
実際の時間が2か月続けて週20時間以上なら
契約では週20時間未満でも、実際の労働時間が2か月続けて週20時間以上になり、その後も続くと見込まれるときは、3か月目から加入の対象です。たとえば2026年11月と12月に続けて超え、1月以降も同じ働き方が続きそうなら、2027年1月から加入することになります。
年末に向けてシフトが増える職場もあります。契約の時間だけで判断せず、実際に働いた時間もあわせて見ておくと安心です。
毎月勤労統計調査(2026年8月分確報)、パートの労働時間は月77.6時間
パートで働く人は、実際に月何時間くらい働いているのでしょうか。厚生労働省が10月23日に公表した毎月勤労統計調査(2026年8月分確報・事業所規模5人以上)の第2表から、主な産業を並べました。
パートタイム労働者の月間総実労働時間(事業所規模5人以上・2026年8月分確報) 主な産業
- 製造業:月104.1時間(週約24.0時間)
- 運輸業,郵便業:月97.1時間(週約22.4時間)
- 卸売業,小売業:月84.8時間(週約19.6時間)
- 調査産業計:月77.6時間(週約17.9時間)
- 生活関連サービス等:月77.2時間(週約17.8時間)
- 医療,福祉:月74.2時間(週約17.1時間)
- 飲食サービス業等:月66.4時間(週約15.3時間)
- 教育,学習支援業:月42.7時間(週約9.9時間)
- 事業所規模30人以上のパートタイム労働者:月84.6時間(週約19.5時間)
卸売業,小売業は週20時間に近い
パートタイム労働者全体の月77.6時間は、所定内労働時間75.4時間と所定外労働時間2.2時間を合わせた時間です。卸売業,小売業は月84.8時間で、週20時間に当たる約86.7時間まであと2時間ほどでした。
事業所規模30人以上に限ると、パートタイム労働者の平均は月84.6時間です。規模の大きい事業所では、パートの労働時間がやや長いことが分かります。
統計の時間と社会保険の基準は別もの
ただし、統計の数字は実際に働いた時間の平均で、契約で決めた所定労働時間とは違います。調査の「パートタイム労働者」も、1日の所定労働時間が一般の労働者より短い人などを指し、社会保険の週20時間とは区切り方が異なります。
賃金の要件がなくなり、パートが勤め先の健康保険に入るかどうかは、主に週20時間の所定労働時間で決まるようになりました。自分が当てはまるかは平均ではなく、労働条件通知書や雇用契約書に書かれた時間と勤務の記録で確かめられます。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。