2026年10月から、パートやアルバイトで働く人が勤め先の健康保険と厚生年金保険に入るかどうかの基準が変わりました。「月額8.8万円以上」という賃金の要件がなくなり、「年収106万円の壁」と呼ばれてきた線は消えています。
代わりに大きな目安になったのが「週20時間」です。厚生労働省が10月23日に公表した毎月勤労統計調査(2026年8月分確報)では、パートタイム労働者が実際に働いた時間は平均で月77.6時間でした。
この記事では、週20時間をどの時間で数えるのか、契約より長く働く月が続いたらどうなるのかを、日本年金機構と厚生労働省の案内をもとに整理します。後半では、国民健康保険に入っていた人が勤め先の健康保険に移るときの届出も確認します。
【社会保険】2026年10月からパートの「月額8.8万円」の要件がなくなった
まずは、何が変わったのかを確認しましょう。日本年金機構によると、令和7年年金制度改正法にもとづき、パートなど短時間で働く人の賃金の要件は2026年10月1日に撤廃されました。
パート・アルバイトの社会保険の加入要件(2026年10月1日から)
- 賃金:2026年9月までは月額8万8000円以上(年収約106万円)、2026年10月1日から撤廃
- 労働時間:週の所定労働時間が20時間以上
- 雇用期間:2カ月を超える雇用の見込み
- 学生:学生ではない
- 企業規模:従業員51人以上(2027年10月から段階的に縮小)
残る要件は4つ
撤廃のあとに残る主な要件は、週の所定労働時間が20時間以上、2カ月を超えて雇われる見込みがある、学生ではない、従業員51人以上の勤め先で働いている、の4つです。従業員数の要件は2027年10月に36人以上へ広がり、その後も段階的に小さくなっていきます。
なお、学生でも定時制や通信制で学ぶ人、休学中の人などは加入の対象になります。
賃金の要件がなくなった理由
厚生労働省の説明では、最低賃金が1016円以上の地域なら、週20時間働けば月額8.8万円の要件を満たします。全国の最低賃金が1016円以上になったため、賃金の要件そのものがなくなったのです。
実際に計算すると、時給1016円で週20時間働いた場合の月の賃金は約8万8053円になります。厚生労働省のQ&Aでも、年収約106万円を気にする必要はないと書かれています。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。