「夫婦とも会社員で、来年1月に出産予定です。夫も2週間だけ育休を取るつもりですが、それでも育休中の給付は増えるのでしょうか」
出産を控えた共働きの人から、このような疑問の声が届くこともあります。
2025年4月に創設された出生後休業支援給付金は、子の出生直後に両親がそれぞれ14日以上の育休を取ると、育児休業給付に休業前の賃金の13%を上乗せする制度です。厚生労働省の「育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版)」では、合わせた給付率80%を「手取り10割相当」と説明しています。
この記事では、出生後休業支援給付金でいくら上乗せされるのかを月給30万円の例で試算し、受け取るための要件と申請の流れを確認します。
出生後休業支援給付金は育児休業給付に13%を上乗せ
出生後休業支援給付金は、雇用保険の育児休業等給付の1つです。上乗せのしくみと、「手取り10割相当」とされる理由を順に見ていきます。
2025年4月に創設
育児休業等給付には、出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金の4つがあります。このうち出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金は、2025年4月1日に創設されました。
出生後休業支援給付金は、出生時育児休業給付金(産後パパ育休の給付)か育児休業給付金を受ける人が、一定の要件を満たしたときに上乗せで支給されます。支給額は「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%」です。
給付率80%で手取り10割相当
育休を始めてからの給付率は、出生時育児休業給付金と育児休業給付金が67%で、出生後休業支援給付金の13%を合わせると80%になります。80%でも手取り10割相当とされるのは、育休中は次のように負担が軽くなるからです。
- 申し出により、健康保険と厚生年金保険の保険料が免除される
- 勤務先から給与が支払われなければ、雇用保険料の負担がない
- 育児休業等給付は非課税
ただし、休業開始時賃金日額には上限額があります。賃金の高い人は、80%に届かない場合があるのです。
例)月給30万円で28日休んだ場合
休業開始時賃金日額は、原則として休業開始前6か月間の賃金の総額を180で割った額で、賞与は含みません。月給30万円なら、30万円×6か月÷180で1万円です。
例)月給30万円で28日休んだ場合 育休中に受け取れる給付(賃金の支払いなし)
- 休業開始時賃金日額:1万円(30万円×6か月÷180)
- 出生時育児休業給付金または育児休業給付金(67%):1万円×28日×67%=18万7600円
- 出生後休業支援給付金(13%):1万円×28日×13%=3万6400円
- 合計:22万4000円
- 14日だけ休んだ場合の出生後休業支援給付金:1万円×14日×13%=1万8200円
28日間に賃金が支払われなかった場合、育児休業給付に3万6400円が上乗せされ、給付は合わせて22万4000円になります。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。