均等割は所得が基準以下なら7割・5割・2割軽減、令和8年度は5割と2割の基準が引き上げられた
前年中の世帯の所得が一定の基準以下の世帯は、均等割額が軽減されます。世田谷区の案内では、申請は不要ですが、世帯主と加入者全員の所得を把握する必要があるため、無収入の方でも住民税の申告が求められます。ただし、税法上の扶養の方や、収入が給与や年金のみで勤務先・日本年金機構から支払報告書が出ている方は、原則申告は不要とされています。
厚生労働省の通知では、令和8年4月から、5割軽減の基準で被保険者数に掛ける金額が30万5000円から31万円に、2割軽減で56万円から57万円に改められました。世田谷区の基準表では、7割軽減の基準は43万円(給与所得者等が複数いる場合は、1人増えるごとに10万円を加算)です。
世田谷区の令和8年度の基準を、世帯の被保険者数別に計算すると、次の表のとおりです。給与所得者等が1人以下の世帯を例にした編集部試算で、軽減の判定基準日は原則として令和8年4月1日です。
国民健康保険料の均等割が安くなる所得はいくらまで?令和8年度の7割・5割・2割軽減の基準を被保険者数別に見た早見表
被保険者数ごとの軽減基準額(給与所得者等が1人以下の世帯の例、編集部試算)
- 1人:7割軽減43万円、5割軽減74万円、2割軽減100万円
- 2人:7割軽減43万円、5割軽減105万円、2割軽減157万円
- 3人:7割軽減43万円、5割軽減136万円、2割軽減214万円
この判定で使う所得は、保険料の所得割の計算とは違い、世帯主が国保に入っていない場合の世帯主の所得も含みます。65歳以上の方の公的年金所得は、15万円を引いた後の額で判定します。
6歳に達する日以降の最初の3月31日までの未就学児は、均等割額がさらに5割軽減されます。世田谷区の例では、7割軽減の世帯の未就学児1人は、均等割が1万9560円から9780円になり、合計で8.5割の軽減です。
会社を辞めたら14日以内に届出、起算日は健康保険の資格喪失日
世田谷区の案内によると、国民健康保険の加入手続きは自動では行われません。職場の健康保険をやめたときは、資格を失った日から14日以内に、窓口、郵送、ぴったりサービス(電子申請)のいずれかで届け出ます。
起算日は、職場の健康保険の資格喪失日です。勤務先が発行する「健康保険資格喪失証明書」の発行日ではありません。必要書類がそろわず14日を過ぎるときは、書類がそろい次第、すぐに届け出るよう案内されています。
届出に必要なのは、本人確認書類、世帯主と該当者のマイナンバーカード(または通知カード)、健康保険資格喪失証明書、国民健康保険異動届です。扶養家族がいない方は、退職証明書や離職票などで代えられる場合があります。
国保の加入手続きは自動的には行われません。また、国保の脱退の手続きは勤務先等では行いません。別の健康保険に入ったときも、国保の脱退の届出が必要で、届出がないと保険料の請求が続きます。
届出が遅れても保険料は資格が発生した月から、最長で過去2年度分までさかのぼる
世田谷区の案内では、保険料は、月の末日に国保の資格があれば、ひと月分かかります。たとえば、7月20日に職場の健康保険をやめて、8月に届け出た場合でも、保険料は届出をした8月分からではなく、7月分から払うことになります。
届出が遅れたときは、最長で過去2年度分さかのぼって払う場合があると案内されています。年度の途中で加入した場合は、1年間の保険料を12か月で割り、加入資格が発生した月から3月までの月数を掛けて計算します。
7月25日に会社をやめて8月に届け出た場合は、7月から翌年3月までの9か月分を、9月から翌年3月までの7か月分に均等にあん分して払う、と区は例を示しています。この例では、届出をした8月ではなく、会社をやめた7月分から保険料の計算が始まります。
1月に加入すべきなのに3月以降に届け出た場合などは、4月分からの保険料とは別に、過年度分の保険料として一括で払うことになります。
【編集者の視点】
会社を辞めるときは、離職票や健康保険資格喪失証明書の手配が遅れて、14日を過ぎてしまうことがあります。区の案内では、14日を過ぎても、書類がそろい次第、すぐに届け出ることとされています。
退職日が決まったら、先に確認しておきたいのは、資格喪失日と、勤務先に資格喪失証明書をいつまでに発行してもらえるかです。扶養家族がいない方は、退職証明書などで代わりになるかも、窓口で確かめられます。
退職した月の保険料は、月の末日に国保の資格があるかで決まります。月の途中で退職して、すぐ別の健康保険に入る場合などは、その月の扱いを、窓口で聞いておくと安心です。
解雇や雇い止めで離職した人は、前年の給与所得を30%とみなして軽減される
世田谷区の案内によると、解雇や雇い止めなどの非自発的な理由で離職した方や、正当な理由がある自己都合退職と認められた方は、保険料が軽減される場合があります。対象は、離職日時点で65歳未満で、雇用保険受給資格者証などの離職理由の番号が、特定受給資格者の11・12・21・22・31・32、特定理由離職者の23・33・34の方です。ただし、雇用保険受給資格者証の右上に「高」(高年齢受給資格者)や「特」(特例受給資格者)と表示がある方は対象外です。
軽減の方法は、対象者の前年の給与所得を100分の30とみなして、保険料を計算するものです。前年の給与所得がない場合や、住民税が未申告の場合は、減額になりません。
軽減の期間は、離職日の翌日が属する月から、その月が属する年度の翌年度末までです。窓口、郵送、オンラインのいずれかで届け出る必要があり、離職から1年以上遅れると、さかのぼって軽減できない場合があります。
産前産後の免除や、75歳到達で入る扶養だった人の減免もある
世田谷区では、令和6年1月から、国保に入っている方が出産する場合に、産前産後の期間に相当する保険料が免除されています。対象期間は、出産予定日が属する月の前月から、出産予定日が属する月の翌々月までの計4か月間です。
多胎妊娠の場合は、出産予定日が属する月の3か月前から、翌々月までの計6か月間です。出産予定日の6か月前から届け出られ、出産後の届出も可能です。
会社の健康保険等(国保組合は除く)の被保険者が75歳に到達して後期高齢者医療制度に移ったため、それまで扶養されていた65歳以上の方が国保に入る場合は、申請により、所得割額が当面の間、全額免除されます。均等割額は、加入から2年を経過する月まで5割が減額されます(均等割の7割・5割軽減に該当する場合を除く)。
このほか、災害で住宅や家財に被害を受けた場合の減免もあります。被害の程度によっては、減免されない場合もあります。申請が必要なので、詳しくは担当の窓口に問い合わせてください。
【編集者の視点】
国保の軽減や免除は、自動で適用されるものと、届出が必要なものが混ざっています。均等割の軽減は申請が要らない代わりに、住民税の申告がないと判定できません。非自発的失業の軽減や産前産後の免除は、届出がなければ適用されません。
退職したあとの最初の1年は、収入が減っても、保険料は前年の所得で決まるため、重く感じやすい時期です。軽減の対象になるかは、雇用保険受給資格者証の離職理由の番号で決まるので、手元にある書類を先に見ておくとよいでしょう。
どの制度に当たるか分からないときは、書類を持って窓口に行き、そこで一緒に確認するのが近道です。減免には届出の期限があるものも多いため、早めに動くことが、結果として負担を抑えることにつながります。
※本記事は、編集部が厚生労働省と自治体が公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。
まとめ
- 国民健康保険の保険料は、令和8年4月から子ども・子育て支援金分が加わって4区分になり、世帯の上限は109万円から113万円になりました
- 保険料は、4区分ごとに所得割と均等割を計算して足します。賦課基準額は、前年の所得から43万円を引いた額です
- 世田谷区の料率で試算すると、40歳未満の単身で賦課基準額が200万円の場合、年間の保険料は27万8673円になります
- 所得が基準以下の世帯は、均等割が7割・5割・2割軽減され、未就学児はさらに5割軽減されます
- 会社を辞めたら、資格喪失日から14日以内に届け出ます。遅れても、保険料は資格が発生した月からかかります
国民健康保険の保険料は、前年の所得、世帯の人数、年齢、住んでいる市区町村の料率で決まります。仕組みを、4区分、賦課基準額、軽減、手続きの順に見ていくと、自分の負担がどこで決まるのかを確かめやすくなります。
まず、前年の所得額と、世帯の加入者の人数、40歳から64歳の人がいるかを整理してください。そのうえで、お住まいの市区町村が公表する令和8年度の料率と軽減の基準を確かめ、退職するときは、14日以内の届出を忘れないようにしましょう。
よくある質問
Q. 国民健康保険料は年間いくらくらいになりますか?
A. 前年の所得と、住んでいる市区町村の料率で決まります。世田谷区の令和8年度の料率で、40歳未満の単身世帯、賦課基準額が200万円の場合は、軽減がなければ年間27万8673円です。
Q. 令和8年度の保険料の上限はいくらですか?
A. 世田谷区の公表では、基礎(医療)分67万円、後期高齢者支援金分26万円、介護分17万円、子ども・子育て支援金分3万円で、合計113万円です。令和7年度は109万円でした。
Q. 会社を辞めたあと、国民健康保険の届出はいつまでにすればよいですか?
A. 職場の健康保険の資格喪失日から14日以内です。必要書類がそろわず14日を過ぎるときは、書類がそろい次第、すぐに届け出ます。
Q. 届出が遅れると、保険料はどうなりますか?
A. 保険料は、届出をした月ではなく、資格が発生した月からかかります。世田谷区の案内では、最長で過去2年度分までさかのぼる場合があります。
Q. 退職後の保険料が安くなる制度はありますか?
A. 解雇や雇い止めなどで離職した65歳未満の方は、前年の給与所得を100分の30とみなして計算する軽減を受けられる場合があります。雇用保険受給資格者証の離職理由の番号が対象になるかを、窓口で確認してください。
Q. 所得がない年でも保険料はかかりますか?
A. 前年の所得がない方にも、均等割額はかかります。ただし、世帯の所得が基準以下なら、均等割が軽減されます。所得を把握するため、無収入でも住民税の申告が求められます(税法上の扶養の方や、給与・年金のみで支払報告書が出ている方は、原則不要とされています)。
元厚労省担当の専門紙の新聞記者。公的社会保障(年金・医療・介護)やNISA・iDeCoを横断分析。難解な一次データを生活者視点に翻訳し、知っておきたい家計防衛の知見と、安全で実用的な情報を提供。