高配当株の配当金を、NISAで受け取るか、特定口座で受け取るか。配当金を目当てに株を持つとき、NISAと特定口座のどちらで持つかで、手元に残る額は変わります。
特定口座の配当金には税金がかかり、確定申告するかどうかで、国民健康保険料などにも影響が出ることがあります。ここでは、配当金がいくらになり、税金と保険料でどれだけ差がつくのかを、公的な統計と制度の数字で確かめます。
試算するのは、東証プライム市場の平均的な配当利回りで、NISAの成長投資枠の上限1200万円分の株を持った場合です。あわせて、年金生活で国民健康保険に入っている人が、特定口座の配当金を確定申告した場合の税金と保険料も計算します。
※配当利回り2.26%は、日本取引所グループ「株式平均利回り」の2026年9月のプライム市場の有配会社平均利回りです。
配当金はNISAと特定口座で何が違う?NISAは非課税、特定口座は20.315%が差し引かれる
上場株式の配当金は、受け取る口座によって税金の扱いが変わります。国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」などによると、主な違いは次のとおりです。
- 【NISAの配当金】税金がかからない。確定申告もなく、所得にも数えない(証券会社で配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」にしておく)
- 【特定口座(源泉徴収あり)の配当金】所得税と復興特別所得税で15.315%、住民税で5%、合計20.315%が差し引かれる
- 【特定口座の配当金の申告】確定申告しない(申告不要)か、総合課税・申告分離課税で申告するかを選べる
特定口座で申告しなければ、配当金から税金が差し引かれた時点で手続きは終わります。2027年分からは所得税の内訳が変わり、復興特別所得税が1.1%に下がって防衛特別所得税が加わりますが、配当金から差し引かれる合計の税率は変わりません。
配当金は1200万円分の株でいくら?平均利回り2.26%なら年約27.1万円、特定口座の手取りは約21.6万円
NISAの成長投資枠の上限1200万円分の株を、プライム市場の平均的な配当利回り2.26%で持った場合の配当金は次のとおりです。
- 【配当金】年約27.1万円
- 【NISAで受け取った場合】税金は0円で、年約27.1万円がそのまま残る
- 【特定口座で受け取った場合】税金は年約5.5万円(所得税など約4.2万円、住民税約1.4万円)で、手取りは年約21.6万円
同じ額の株を持っても、NISAと特定口座では、配当金の手取りに年約5.5万円の差がつきます。NISAの成長投資枠は年間240万円までなので、1200万円の枠を埋めるには最短で5年かかります。
※試算の前提:配当利回りは日本取引所グループ「株式平均利回り」の2026年9月のプライム市場の有配会社平均利回り(2.26%)。配当利回りは株価と配当で毎月変わり、同じ月の単純平均利回りは2.21%、加重平均利回りは1.92%でした。株価の値動きは含めていません。
配当金で年100万円を受け取るには?約4425万円が必要で、NISAの生涯の枠1800万円を超える
同じ配当利回り2.26%で、配当金を年100万円受け取るのに必要な株の額は約4425万円です。
- 【NISAで持てる額】生涯で1800万円まで(うち成長投資枠は1200万円まで)
- 【成長投資枠1200万円で受け取れる配当金】年約27.1万円
- 【年100万円に届かない分】約3225万円は特定口座などで持つことになる
配当金で年100万円を目指すと、NISAの枠だけでは足りず、配当金の多くは特定口座で受け取ることになります。特定口座の配当金をどう扱うかは、手取りに直接かかわります。
※試算の前提は前章と同じです。
SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)出身。証券外務員一種保有。富裕層や法人に向けた資産運用コンサルティングに従事。現在は株式会社モニクルリサーチにて、複数のWebメディアで金融記事の企画・執筆・監修を行う。