年金月7万円の一人暮らしは、生活扶助だけなら1級地-1で月6880円の差額
生活保護は、最低生活費から収入を引いた差額が、保護費として支給されます。厚生労働省は、この収入の例として、年金や児童扶養手当などを挙げています。
65歳で、年金以外の収入がなく、年金が月7万円の場合を考えます。生活扶助だけで比べると、1級地-1は7万6880円から7万円を引いた月6880円、2級地-1は7万3490円から7万円を引いた月3490円です。
3級地-2は、生活扶助が6万8850円で、年金の7万円が1150円上回ります。生活扶助だけの比較では、差額は出ません。ただし、これは生活扶助だけの比較で、家賃などが加わると結果が変わります。
家賃がある場合は住宅扶助が加わり、東京23区で家賃5万円なら年金7万円でも月5万6880円
最低生活費は、生活扶助のほかに、必要に応じて住宅扶助、医療扶助、介護扶助などを足して計算します。住宅扶助は、定められた基準額の範囲内で、実際に払っている家賃などが支給されます。
厚生労働省の資料に載る東京都の例では、単身の場合の住宅扶助の基準額は、1級地で5万3700円です。東京23区(1級地-1)で、家賃が5万円(基準額の範囲内)の65歳の単身の場合に、年金額ごとの差額を試算したのが次の表です。
年金月7万円の一人暮らしの生活保護費はいくら?東京23区の65歳で年金額別に家賃5万円の有無で比べた月額の試算
1級地-1(東京23区)の65歳の単身、令和8年10月以降の試算。年金以外の収入はなし。家賃は基準額の範囲内の5万円。冬季加算などは含まない編集部試算
【年金月7万円の一人暮らしの生活保護費はいくら?東京23区の65歳で年金額別に家賃5万円の有無で比べた月額の試算】
年金月額ごとの差額(1級地-1、65歳の単身、年金以外の収入なし)
- 年金5万円:生活扶助のみの差額2万6880円、家賃5万円を加えた最低生活費12万6880円、差額7万6880円
- 年金7万円:生活扶助のみの差額6880円、家賃5万円を加えた最低生活費12万6880円、差額5万6880円
- 年金10万円:生活扶助のみは0円(年金が2万3120円上回る)、家賃5万円を加えた最低生活費12万6880円、差額2万6880円
- 年金13万円:生活扶助のみは0円、家賃5万円を加えた最低生活費12万6880円、差額0円(年金が3120円上回る)
家賃を加えると、年金月7万円でも、差額は月5万6880円になります。年額にすると、6880円×12か月は8万2560円、5万6880円×12か月は68万2560円で、家賃の有無による差は大きいです。
この試算には、冬季加算、医療扶助、介護扶助、年金から引かれる税金や保険料の扱いなどは入っていません。実際の額は、福祉事務所が世帯の状況を調べて決めます。
【編集者の視点】
年金月7万円と聞くと、生活扶助の基準額7万円台との比較だけで、受け取れる額を考えがちです。実際には、家賃のある人は住宅扶助が加わり、差額が数万円変わります。持ち家か賃貸かで、結果が大きく変わる点を、先に整理してください。
相談に行くときは、年金の通知書、通帳、家賃の契約書など、収入と支出が分かる書類を手元に置くと、話が早く進みます。厚生労働省も、申請時に通帳の写しなどの提出を求めることがあるとしています。
生活保護は、収入が最低生活費に満たない場合の差額を支給する仕組みで、法律に原則が定められている
生活保護法の第4条は、生活に困窮する者が、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、最低限度の生活の維持のために活用することを、保護の要件としています。年金など他の制度で受け取れる給付は、先に活用することになります。
第8条は、保護が、厚生労働大臣の定める基準で測った需要のうち、本人の金銭などで満たせない不足分を補う程度で行われると定めています。第10条は、世帯を単位として保護の要否や程度を決めると定めています。
基準は、年齢別、世帯構成別、所在地域別などの事情を考慮して定められます。年金月7万円の一人暮らしでも、年齢、級地、家賃によって、受給の可否や額が変わるのはこのためです。
元厚労省担当の専門紙の新聞記者。公的社会保障(年金・医療・介護)やNISA・iDeCoを横断分析。難解な一次データを生活者視点に翻訳し、知っておきたい家計防衛の知見と、安全で実用的な情報を提供。