パートの妻が厚生年金に入ると年金はどう変わるか
冒頭の声のように妻がパートで働いている世帯では、妻が勤め先の厚生年金に入るかどうかで将来の年金が変わります。扶養の範囲で働く第3号被保険者のままなら基礎年金だけですが、厚生年金に加入すると第2号被保険者となり、基礎年金に厚生年金が上乗せされます。
一方で、加入すると本人にも保険料の負担が生じます。厚生労働省は、年金制度改正法の説明資料で、年収106万円のパートの人が加入した場合の例を示しています。
年収106万円の第3号被保険者が厚生年金に加入すると、本人の保険料は月1万2500円、20年加入で年金は月8800円増える
- 本人の保険料:加入前はなし、加入後は月1万2500円(厚生年金8100円・健康保険4400円)
- 受け取る年金:加入前は基礎年金、加入後は基礎年金と厚生年金
- 20年加入した場合:年金が月8800円増える(終身)
- 医療保険の給付:加入後は傷病手当金・出産手当金の対象になる
年金の増え方と保険料の負担
20年加入すると年金は月8800円、年10万5600円増え、生きている限り受け取れます。この間に本人が払う厚生年金の保険料は、月8100円の20年分で194万4000円です。
単純に割り算すると、払った厚生年金の保険料は18年余りで年金として取り戻せる計算です。健康保険に入ると、病気で休んだときの傷病手当金や出産手当金も受けられるようになります。
加入の対象は段階的に広がる
パートなどの短時間で働く人は、週20時間以上働き、従業員51人以上の会社に勤めている場合などに加入の対象となります。従業員数の要件は、2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上と段階的に引き下げられる予定です。
勤め先の規模によっては、今は対象外でも数年のうちに加入することになる人もいます。手取りへの影響と将来の年金の両方を見ながら、働き方を考えておくと安心です。
自分の年金額を確かめる方法
モデル年金や試算の金額は、自分の年金額を考える出発点にすぎません。実際の見込み額は、毎年誕生月に届くねんきん定期便や、日本年金機構のねんきんネットで確かめられます。
50歳以上の人のねんきん定期便には、今の加入条件のまま60歳まで加入した場合の見込み額が載っています。夫婦それぞれの定期便を並べて合計すると、わが家の年金額が見えてきます。
まとめにかえて
2026年度のモデル年金は月23万7279円ですが、夫が平均月収45.5万円で40年働き、妻が40年間専業主婦という前提の金額です。共働きなら試算で月26万4372円、単身なら月14万983円と、世帯の形によって大きく変わります。
パートの妻が厚生年金に加入すれば、年収106万円で20年加入した場合に年金は月8800円増えます。「夫婦で月23万円」をわが家の数字と思い込まず、それぞれの加入記録から見込み額を確かめることが大切です。
年金額の見込みや手続きについて分からないことがあれば、ねんきんダイヤルや近くの年金事務所に相談してみてください。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。