厚生労働省が2026年10月27日にe-Statで公表した「国民健康保険実態調査(令和6年度)」の追加表によると、国民健康保険の加入者のうち、会社などに雇われて働く「被用者」は30.7%でした。無職の人は53.6%で、加入者の3人に1人ほどは働きながら国民健康保険に入っていることになります。
週20時間未満のパートや、従業員50人以下の会社で働く人は、勤務先の健康保険ではなく国民健康保険に入り、保険料を自分で納めます。2026年度からは、その保険料の区分が4つに増えました。
この記事では、会社で働いていても国民健康保険になる人の条件と、保険料の計算のしくみを確かめたうえで、45歳・単身・給与収入120万円の場合の2026年度の保険料を試算します。
【国民健康保険実態調査】加入者の30.7%は会社などで働く被用者
国民健康保険は、自営業や無職の人の制度と思われがちです。まずは、加入者がどのような職業に就いているのかを調査で見ていきます。
職業別の割合
国民健康保険実態調査(令和6年度)の追加表では、職業がわからない人を除いた加入者のうち、被用者が30.7%、無職が53.6%、農林水産業以外の自営業が11.8%でした。被用者の数は662万6100人にのぼります。
国民健康保険の加入者の職業別の割合(年齢階級別・2024年度)
- 総数:被用者30.7%、その他の自営業11.8%、無職53.6%
- 20〜24歳:被用者52.0%、その他の自営業2.6%、無職43.8%
- 25〜29歳:被用者56.5%、その他の自営業10.7%、無職30.8%
- 30〜34歳:被用者48.7%、その他の自営業17.6%、無職31.4%
- 40〜44歳:被用者41.8%、その他の自営業22.7%、無職32.3%
- 50〜54歳:被用者39.9%、その他の自営業22.9%、無職33.4%
- 60〜64歳:被用者38.3%、その他の自営業15.5%、無職40.0%
- 65〜69歳:被用者29.5%、その他の自営業8.4%、無職56.9%
- 70〜74歳:被用者19.3%、その他の自営業6.8%、無職69.2%
20代は半数以上が被用者
年齢別に見ると、20〜24歳では52.0%、25〜29歳では56.5%が被用者で、無職の割合を上回ります。40代と50代でも、被用者は4割前後を占めています。
一方で、65〜69歳は無職が56.9%、70〜74歳は69.2%です。国民健康保険の加入者は年金生活の人が多い一方、若い世代や働き盛りの世代では、会社で働く人の制度という面もあるのです。
会社で働いていても国民健康保険になる人
会社などに雇われて働く人の多くは、勤務先の健康保険に入ります。それでも国民健康保険になるのは、勤務先の健康保険に入る要件を満たしていない人です。
週20時間未満で働く人
パートなどの短時間労働者が勤務先の健康保険と厚生年金に入るには、週の所定労働時間が20時間以上であること、勤務先が従業員51人以上の企業であること、学生ではないことが必要です。2026年10月に「月額8.8万円」の賃金要件はなくなりましたが、週20時間の要件は残っています。
たとえば週18時間で働く人は、勤務先の規模にかかわらず、この要件では勤務先の健康保険の対象になりません。家族の健康保険の扶養に入らなければ、国民健康保険に加入します。
従業員50人以下の会社で働く人
週20時間以上働いていても、勤務先の従業員が50人以下なら、短時間労働者は原則として勤務先の健康保険に入りません。ただし、従業員の2分の1以上の同意があれば、短時間労働者も勤務先の健康保険と厚生年金に加入できます。
勤務先の規模の要件は2027年10月から縮小
年金制度改正法にもとづき、勤務先の規模の要件は段階的に縮小されます。厚生労働省の資料では、次のスケジュールが示されています。
社会保険の企業規模要件の縮小スケジュール(短時間労働者)
- 従業員51人以上:すでに対象
- 従業員36〜50人:2027年10月から
- 従業員21〜35人:2029年10月から
- 従業員11〜20人:2032年10月から
- 従業員10人以下:2035年10月から
たとえば従業員30人ほどの会社なら、2029年10月からは規模の要件を満たします。そのときに週20時間以上で働いていれば、勤務先の健康保険の対象になる見込みです。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。