「48歳、ひとり暮らしです。派遣の契約が切れてから仕事が決まらず貯金は10万円を切りましたが、まだ働ける年齢だと生活保護は受けられないのでしょうか」
仕事を失った40代や50代の人から、このような疑問の声が届くこともあります。生活保護というと高齢の人の制度と思われがちですが、働ける年齢の人が対象になるかどうかは、法律と国の通知を見ると答えが分かります。
厚生労働省が2026年10月7日に公表した「被保護者調査(令和8年7月分概数)」によると、生活保護を受けている163万5284世帯のうち、高齢者・母子・障害者・傷病者のどれにも当たらない「その他の世帯」は25万9162世帯でした。全体に占める割合は15.8%です。
この記事では、働ける年齢の人が生活保護を受けるときの判断の仕方を、生活保護法と厚生労働省の通知で確かめます。そのうえで、48歳・ひとり暮らしの最低生活費を2026年10月からの基準で試算します。
「働ける年齢は対象外」は誤解 生活保護に年齢の要件はない
はじめに、「働ける年齢だと生活保護は受けられない」という見方が、法律の上でどう扱われているのかを整理します。
法律にあるのは「要件を満たす限り」
生活保護法第2条は、すべての国民が「この法律の定める要件を満たす限り」保護を無差別平等に受けられると定めています。条文のどこにも、年齢の上限や下限は書かれていません。
そのうえで第4条第1項は、生活に困っている人が利用できる資産や能力などを、最低限度の生活のために活用することを保護の要件にしています。働ける年齢の人に問われるのは年齢そのものではなく、この「能力の活用」なのです。
働く力の活用は3つの点で判断
能力の活用について、厚生労働省は局長通知「生活保護法による保護の実施要領について」の第4で判断の仕方を示しています。働く力(稼働能力)を活用しているかどうかは、次の3つで判断するとされています。
- 稼働能力があるか
- その稼働能力を活用する意思があるか
- 実際に稼働能力を活用する就労の場を得られるか
1つ目の稼働能力は、年齢や医学的な面だけでなく、持っている資格や生活歴・職歴も合わせて評価します。2つ目の意思は、求職状況報告書などで求職活動の様子を具体的に確かめ、真剣に仕事を探したかどうかを踏まえて見ます。
3つ目の就労の場は、地域の有効求人倍率や求人の内容に加え、育児や介護など働くことを妨げる事情も踏まえて評価します。仕事を探していても働く場が得られない事情は、判断の材料として扱われるということです。
すでに働いている人も同じ考え方
課長通知「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」の問答では、いま働いている人にも同じ判断基準が当てはまると示されています。本人の稼働能力から見て妥当な水準で働いていれば、能力を活用していると判断できるという扱いです。
短時間の仕事しか見つからない場合も、その働き方が本人の稼働能力から見て妥当かどうかが問われます。収入が最低生活費に届かなければ、足りない分を生活保護で受け取る仕組みです。
生活保護を受ける世帯の15.8%は「その他の世帯」
次に、実際に生活保護を受けている世帯の内訳を、厚生労働省の被保護者調査で確かめます。
生活保護を受けている世帯の世帯類型別の内訳(2026年7月分概数)
- 高齢者世帯:90万3116世帯(55.2%)
- 母子世帯:5万4892世帯(3.4%)
- 障害者・傷病者世帯:41万8114世帯(25.6%)
- その他の世帯:25万9162世帯(15.8%)
- 総数:163万5284世帯(保護停止中の世帯を含まない)
高齢者世帯が半数を超える一方で、どの類型にも当たらない「その他の世帯」も6世帯に1世帯ほどあります。前年同月の26万1101世帯と比べると、1939世帯少なくなりました。
ただし、世帯類型は世帯の構成で分けたもので、年齢や働く力を直接示すものではありません。「その他の世帯」がすべて働ける年齢の人の世帯というわけではない点に注意が必要です。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。