年金月10万円の単身で特別養護老人ホームの費用を試算
ここからは、年金収入だけで暮らす配偶者のいない人が、特別養護老人ホームに30日入所した場合の食費と居住費を試算します。世帯全員が住民税非課税で、預貯金等は500万円以下とします。
例)年金収入だけの単身・30日の場合 特別養護老人ホームの食費と居住費の月額
- 【ユニット型個室・第3段階①】6万1500円(居住費1370円+食費680円)×30日
- 【ユニット型個室・第3段階②】8万6700円(居住費1470円+食費1420円)×30日
- 【ユニット型個室・認定なし(基準費用額)】10万8330円(居住費2066円+食費1545円)×30日
- 【多床室・第3段階①】3万3300円(居住費430円+食費680円)×30日
- 【多床室・第3段階②】5万8500円(居住費530円+食費1420円)×30日
- 【多床室・認定なし(基準費用額)】7万3800円(居住費915円+食費1545円)×30日
ユニット型個室なら月6万1500円
年金収入が年120万円以下で第3段階①なら、ユニット型個室の居住費1370円と食費680円で日額2050円、30日で6万1500円です。認定を受けずに基準費用額どおり払うと30日で10万8330円なので、差は4万6830円になります。
多床室なら、第3段階①で3万3300円、基準費用額どおりなら7万3800円です。認定を受けていない人の実際の食費と居住費は施設との契約で決まるため、ここでは基準費用額で計算しています。
年金収入が120万円を超えると
年金収入が年120万円を超えると第3段階②となり、ユニット型個室で月8万6700円です。第3段階①との差は月2万5200円あり、2026年8月の見直しで、第3段階②のユニット型個室の負担は月4800円増えました。
段階は手取りではなく、額面の年金収入で判定されます。年金の振込通知書などで、遺族年金も含めた年間の額を確かめておきましょう。
冒頭の声のケースでは
冒頭の声のお母さまは、配偶者がおらず、預貯金は400万円です。世帯全員が住民税非課税で、老齢年金と遺族年金を合わせた年金収入が年120万円以下なら第3段階①に当たり、ユニット型個室の食費と居住費は月6万1500円になります。
年金収入が年120万円をわずかに超える場合でも、第3段階②の月8万6700円で、月10万円には届きません。月10万円を超えるのは、認定を受けずに基準費用額どおり払った場合の話です。
介護サービス費は別にかかる
このほかに、介護サービス費の自己負担(原則1割)と日常生活費がかかります。介護サービス費の自己負担には高額介護サービス費の上限があり、世帯全員が住民税非課税なら世帯で月2万4600円です。
第2段階の人は、個人で月1万5000円が上限です。食費と居住費は高額介護サービス費の対象に含まれないため、負担限度額認定とは別の仕組みとして押さえておきましょう。
負担限度額認定の申請で確かめたい3つの点
最後に、負担限度額認定を受けるときに確かめておきたい点を3つ挙げます。
認定は申請した月の初日から
負担限度額認定は、申請した月の初日にさかのぼって効力を持ちます。入所が決まったら、入所する月のうちに市区町村へ申請しておくと安心です。
認定証の有効期間は、原則として8月1日から翌年7月31日までです。毎年の更新が必要で、所得や預貯金が変わると段階も変わることがあります。
別の世帯の配偶者が課税なら対象外
世帯を分けていても、配偶者に住民税がかかっていれば補足給付は受けられません。事実婚の相手も配偶者に含まれます。
預貯金等は、本人と配偶者の分を合計して判定します。夫婦の一方が入所する場合は、2人分の通帳や口座残高を用意しておくと手続きが進めやすくなります。
社会福祉法人の軽減制度もある
社会福祉法人などが運営する施設では、利用者負担軽減制度の対象になる場合があります。実施していない法人もあるため、入所前に施設と市区町村の窓口で確かめておくとよいでしょう。
まとめにかえて
特別養護老人ホームの食費と居住費は、負担限度額認定の有無と所得段階で大きく変わります。年金収入だけの単身で年120万円以下なら、ユニット型個室で月6万1500円という試算でした。
有料老人ホームと比べるときも、まず認定を受けた場合の特別養護老人ホームの費用を出しておくと、比べやすくなります。2026年8月の見直しで第3段階の食費と居住費は上がっているため、以前の金額で見積もっている場合は確かめ直しておきたいところです。
親が対象になるか分からないときは、市区町村の介護保険の担当窓口や地域包括支援センター、入所先の施設の相談員に相談してみてください。年金の振込通知書と預貯金の残高を手元にそろえておくと、話が早く進みます。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。