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生活保護の家具什器費は上限「3万6700円」。受給中に洗濯機が壊れたら、やりくりの貯金か生活福祉資金で
Bbeeboys/shutterstock.com
公的扶助・社会福祉

生活保護の家具什器費は上限「3万6700円」。受給中に洗濯機が壊れたら、やりくりの貯金か生活福祉資金で

毎月の保護費で考えるのが基本

生活保護の家具什器費は上限「3万6700円」。受給中に洗濯機が壊れたら、やりくりの貯金か生活福祉資金で
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「72歳でひとり暮らし、5年前から年金と生活保護で暮らしています。10年以上使った洗濯機が壊れましたが、貯金はほとんどなく、一度に買い替えるのは難しいです。買い替えの費用は、保護費とは別に出してもらえるのでしょうか」

生活保護を受けながら暮らす高齢の方やその家族から、このような疑問の声が届くこともあります。

厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領」では、家具や生活用品をそろえる費用として、一時扶助の「家具什器費(かぐじゅうきひ)」が定められています。上限は原則3万6700円で、出るのは保護を受け始めたときや転居したときなど、限られた場面です。

この記事では、受給中に家電が壊れたとき、何が使えて何が使えないのかを確かめます。そのうえで、7万円の洗濯機を買い替える場合の試算もしてみます。

生活保護は、国が生活に困っているすべての国民に、困っている程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助けることを目的とした制度です(生活保護法第1条)。病気やけが、障害、高齢、失業、介護や子育てなど、受給に至る事情は一人ひとり異なります。本記事では、生活保護を受けている方が家電の故障で困ったときに慌てず相談できるよう、使える制度の仕組み等をお伝えします。

【生活保護と家電】「全部出る」も「何も出ない」も正確ではない

生活保護を受けていると、壊れた家電は福祉事務所が買ってくれる、と考える人もいます。反対に、保護費以外には何の支えもない、と思い込んでいる人もいるでしょう。

実際は、そのどちらとも違います。家電の買い替えに使える道はいくつかあり、どれが使えるかは「いつ、どんな事情で必要になったか」で変わるのです。

毎月の保護費で考えるのが基本

毎月の保護費のうち生活扶助は、食費や被服費、光熱水費など、日常の暮らしに必要な費用をまかなうお金です。厚生労働省は、年齢ごとの個人の費用と、世帯で共通にかかる費用を合わせて基準額を決めていると説明しています。

そのため、一時扶助の対象にならない家電の買い替えは、毎月の保護費をやりくりしてまかなうことになります。急な故障で困るのは、このやりくりが追いつかないときです。

使える道は3つ

受給中に家電が必要になったとき、考えられる道は次の3つです。

  • 一時扶助の家具什器費:限られた場面でだけ、保護費とは別に支給される
  • 保護費のやりくりで貯めたお金:使い道が制度の趣旨に合えば、持っていてよい
  • 社会福祉協議会の生活福祉資金:借りる前に福祉事務所の承認を受け、目的どおりに使えば収入に数えない

冒頭の相談者のように、受給中に家電が壊れた場合は、2つ目と3つ目が中心になります。次の章から、ひとつずつ見ていきましょう。

【家具什器費】保護費とは別に出る5つのケース

家具什器費は、生活に欠かせない家具や生活用品がないときに、毎月の保護費とは別に支給される一時扶助です。厚生労働省の実施要領では、出る場面が次の5つに限られています。

  • 保護を受け始めるときに、最低限の暮らしに必要な家具什器を持っていない
  • 単身の人が長く入院・入所していて、退院・退所して新たに暮らし始めるときに持っていない
  • 災害にあい、災害救助法による救助が受けられない
  • 転居によって、いま持っている家具什器が使えなくなる
  • 犯罪や暴力から逃れるために転居し、家具什器を持っていない

どの場面も、暮らしの土台が新しく始まるときや、大きく崩れたときです。使っている家電が古くなって壊れた、という場面は含まれていません。

生活保護の家具什器費(一時扶助)が出る場面と上限額

生活保護の家具什器費は、保護開始時・退院退所時・災害・転居・犯罪等からの避難の5つの場面で、家具什器は3万6700円以内(真にやむを得ない場合は5万8400円以内)。暖房器具は3万1000円以内(7万8000円以内)、冷房器具は7万8000円以内
出所:厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」をもとにナビプラマネー編集部作成
  • 家具什器(炊事用具・食器など):3万6700円以内(真にやむを得ない場合は5万8400円以内)
  • 暖房器具:3万1000円以内(FF式などで真にやむを得ない場合は7万8000円以内)
  • 冷房器具:7万8000円以内(熱中症予防が特に必要な人がいる場合)

冷暖房器具にも条件がある

暖房器具と冷房器具も、上の5つの場面のどれかに当てはまることが前提です。暖房器具は、そのあと初めて冬季加算がつく月に持っていない場合に認められます。

冬季加算は、冬の暖房費などがかさむ分を上乗せする加算です。多くの地域では11月から3月までつくため、11月はちょうど暖房器具が必要になり始める時期にあたります。

冷房器具は、熱中症の予防が特に必要な人がいる世帯が対象です。これから冬を迎える時期ですが、受給中にストーブが壊れた場合も、5つの場面に当たらなければ家具什器費は出ません。

原則は現物での支給

実施要領では、家具什器費は原則として品物そのものを渡す形(現物給付)で支給するとされています。設置の費用が別にかかり、やむを得ない場合は、最小限の額が認められることもあります。

転居や退院の予定があるときは、家電をそろえる前に担当のケースワーカーに伝えておきましょう。先に自分で買ってしまうと、あとから対象にならないこともあるためです。

これから保護を申請する人も同じです。炊事用具や食器など、暮らしに欠かせないものが手元にない場合は、申請の相談のときに伝えておくと、開始時の家具什器費を検討してもらいやすくなります。

太田 彩子
ナビプラマネー編集部記者株式会社モニクルリサーチ

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