警察庁が2026年10月2日に公表した「令和8年8月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」によると、2026年1月から8月までの特殊詐欺は2万9687件、被害額は2360.7億円にのぼりました。このうち「お金が戻ってくる」と持ちかける還付金詐欺は2058件で、被害額は46.5億円と前年同期より7.2%増えています。
「お金を受け取れる」という話は、年金を受け取っている人に身近な年金生活者支援給付金を口実にすることもあります。厚生労働省も、この給付金をかたる詐欺に注意するよう呼びかけているのです。
この記事では、本物の給付金の手続きと詐欺の電話はどこが違うのかを、警察庁や厚生労働省の資料をもとにわかりやすく整理します。
【年金生活者支援給付金】厚生労働省が詐欺に注意を呼びかけ
年金生活者支援給付金は、年金などの収入が一定の額より少ない人に、年金に上乗せして支給されるお金です。基準となる額は月5620円で、保険料を納めた期間などに応じて受け取る額が決まります。
この給付金について、厚生労働省の特設サイトには「年金生活者支援給付金をかたる詐欺にご注意ください」という項目があります。そこでは、厚生労働省や日本年金機構が電話で次のことをしないと書かれています。
- 家族構成を聞くこと
- 金融機関の口座番号を聞くこと
- 暗証番号を聞くこと
- 手数料などのお金を求めること
年金生活者支援給付金をかたる詐欺に注意 厚生労働省・日本年金機構が電話でしないこと
電話で口座番号や暗証番号を聞かれたら、その時点で本物ではないと考えてよいでしょう。「手数料が必要です」と言われた場合も同じです。
還付金詐欺と同じ「ATMへ誘導」する手口
給付金を口実にした電話は、還付金詐欺とよく似た流れをたどります。警察庁の説明によると、還付金詐欺では自治体や税務署、年金事務所の職員などを名乗る電話がかかってきます。
「医療費や保険料の払い過ぎがある」「受け取っていない年金がある」など、お金を受け取れるという話から始まるのが特徴です。そのうえで払い戻しの期限が近いと急がせ、携帯電話を持って近くのATMへ行くよう指示してきます。
言われたとおりにATMのボタンを押すと、お金を受け取るどころか、犯人の口座へ振り込んでしまうのです。警視庁も還付金詐欺を、税金の還付などの手続きを装ってATMを操作させ、口座から口座へお金を移させる手口と説明しています。
還付金詐欺の認知件数と被害額(2026年1月〜8月末・暫定値)
- 認知件数:2058件(前年同期より229件・10.0%減)
- 被害額:46.5億円(前年同期より3.1億円・7.2%増)
- 特殊詐欺全体:2万9687件・2360.7億円
件数は減ったものの、被害額は増えています。1件あたりの被害が大きくなっているとも読める数字です。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。