通信料が月3000円から1万円なら、生活扶助7万6880円の約3.9%から約13.0%にあたる試算
生活扶助の額は、令和8年10月から、65歳の単身で、1級地-1が7万6880円、2級地-1が7万3490円、3級地-2が6万8850円です。ここでは、1級地-1と3級地-2を使い、月の通信料を仮に3000円、5000円、8000円、1万円とした場合の割合を出しました。
通信料が月5000円なら、1級地-1の7万6880円に対して約6.5%、3級地-2の6万8850円に対して約7.3%です。月1万円なら、1級地-1で約13.0%、3級地-2で約14.5%になります。
1級地-1で通信料が月5000円なら、通信料を引いた残りは7万1880円です。月3000円なら7万3880円、月8000円なら6万8880円、月1万円なら6万6880円が残ります。
例)通信料が月3000円・5000円・8000円・1万円の場合 令和8年10月以降の65歳の単身の生活扶助に対する割合と、1級地-1で残る額を試算
月の通信料ごとの試算
- 3000円:1級地-1で約3.9%、3級地-2で約4.4%、1級地-1で残る額は7万3880円
- 5000円:1級地-1で約6.5%、3級地-2で約7.3%、1級地-1で残る額は7万1880円
- 8000円:1級地-1で約10.4%、3級地-2で約11.6%、1級地-1で残る額は6万8880円
- 1万円:1級地-1で約13.0%、3級地-2で約14.5%、1級地-1で残る額は6万6880円
※試算の前提:通信料は仮の金額で、実際の契約額ではありません。生活扶助は65歳の単身の額で、通信料以外の費用や、冬季加算などの加算、住宅扶助などの他の扶助は含めていません。割合は小数第2位を四捨五入した約の値です。
級地によって生活扶助の額が違うため、同じ通信料でも割合は変わる
生活扶助の額は、住んでいる地域の級地によって違います。級地は市区町村ごとに決まっていて、東京23区は1級地-1です。お住まいの級地は、厚生労働省の級地一覧で確認できます。
上の試算では、1級地-1と3級地-2を使いました。2級地-1の7万3490円で、月の通信料が5000円なら、割合は約6.8%です。1級地-1の約6.5%、3級地-2の約7.3%の間になります。
生活扶助の額が低い地域ほど、同じ通信料でも割合は高くなります。通信料を考えるときは、自分の級地の額で見ておく方が、実際の負担に近くなります。
【編集者の視点】
試算を見ると、通信料が月8000円を超えると、生活扶助の1割を超えます。スマートフォンを持てるかどうかより、契約の中身が、毎月の生活費を左右する場面が出てきます。
スマートフォンは、福祉事務所とのやりとりや、仕事探しの連絡に使う場面があると考えられます。通信料を抑えるために、契約の見直しをどう進めるかは、利用者が自分で考える部分になります。
検証:スマートフォンを持てるかより、通信料と生活扶助のバランスを見ておくことが分かれ目になる
ここで、見てきたことを3つに絞って振り返ります。基準、保有割合、通信料の割合の順です。
1つ目は、持てるかどうかの物差しが、普及率だという点です。実施要領の原文に「携帯電話」の語はなく、当該地域の全世帯の70%程度という物差しで判断されます。全国の世帯のスマートフォン保有割合は91.8%で、この値を上回っています。
2つ目は、通信料の別枠が確認できなかったことです。保有を認められることと、通信料の負担がなくなることは、別の話です。実施要領の原文を見る限り、通信料を別に支給するという定めは見つかりませんでした。
3つ目は、通信料の割合が、契約によって大きく変わることです。1級地-1で月3000円なら約3.9%、月1万円なら約13.0%と、3倍以上の開きがあります。
制度の運用は、福祉事務所が世帯の状況を見て決めます。保有や通信料で迷うときは、自己判断で解約せず、ケースワーカーに確認する方が、実際には役に立つと考えられます。
【編集者の視点】
保有の可否は、基準と最新の普及率を並べると、全国の世帯の値では、スマートフォンの保有割合が基準の70%程度を上回っていることが分かります。一方で、通信料は、契約を決める本人の選択で、生活費に占める割合が変わります。
通信料を割合で見ておけば、契約を見直すかどうかを、数字で考えられます。見直しの前に、福祉事務所に相談しておくと、安心です。
※本記事は、編集部が厚生労働省と総務省が公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。
まとめ
- 生活保護の保有可否は、実施要領の普及率で判断され、基準は当該地域の全世帯の70%程度です
- 実施要領の原文に、「携帯電話」の語は出てきません
- 総務省の令和7年調査では、世帯のスマートフォン保有割合は91.8%でした
- 通信料の別枠は、確認した資料の範囲では見つかりませんでした
- 通信料が月5000円なら、1級地-1の生活扶助7万6880円の約6.5%にあたる試算です
スマートフォンを持っていることだけを理由にする定めは、確認した原文には見当たりませんでした。まずは、福祉事務所の窓口で、手元の状況を伝えてみてください。
この記事は、実施要領の原文と、総務省と厚生労働省の公表資料に基づく整理です。制度の運用や金額は、お住まいの福祉事務所に確認してください。
よくある質問
Q. 生活保護を利用すると、スマホは手放すことになりますか?
A. 実施要領は、物品を持てるかどうかを普及率で見るとしています。目安は、地域の全世帯の70%程度です。実際に保有を認めるかどうかは、福祉事務所が判断するため、ケースワーカーに確認してください。
Q. 実施要領に、スマートフォンの定めはありますか?
A. 昭和38年の社保第34号の課長通知(問答)を確認した範囲では、「携帯電話」「スマートフォン」の語は出てきませんでした。判断は、物品の普及率で行うとされています。
Q. 通信料は、別に支給されますか?
A. 実施要領の原文を確認した範囲では、通信料を別に支給するという定めは見つかりませんでした。通信料の扱いは、福祉事務所に確認してください。
Q. 通信料が月5000円だと、生活扶助のどれくらいにあたりますか?
A. 令和8年10月以降の65歳の単身で、1級地-1の7万6880円に対して約6.5%、3級地-2の6万8850円に対して約7.3%にあたる試算です。通信料は仮の金額です。
元厚労省担当の専門紙の新聞記者。公的社会保障(年金・医療・介護)やNISA・iDeCoを横断分析。難解な一次データを生活者視点に翻訳し、知っておきたい家計防衛の知見と、安全で実用的な情報を提供。