【最低賃金】2026年度は全国加重平均で時給1177円
ここからは、生活保護と比べる側の最低賃金を確かめます。
引き上げ額と発効日
厚生労働省の発表では、2026年度の地域別最低賃金は47都道府県すべてで答申が出そろいました。引き上げ額は都道府県によって54円から65円で、全国加重平均は1177円です。
新しい最低賃金は、都道府県労働局長の決定により、2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効します。自分が働く都道府県の額と発効日は、都道府県労働局の案内で確かめられます。
フルタイムなら月19万7736円
全国加重平均の時給1177円で、1日8時間・月21日のフルタイムで働いたとします。月の労働時間は168時間で、額面の月収は19万7736円です。
週15時間ほどのパートで月65時間働く場合は、額面で月7万6505円になります。同じ最低賃金でも、働く時間によって月収には2倍以上の開きが出ます。
【試算】2級地-1の単身なら最低生活費は月10万8930円
34歳の単身者を想定して、最低生活費を試算します。使うのは厚生労働省「生活保護法による保護の基準」の、2026年10月1日から適用されている額です。
試算の前提
2級地-1の地域に住む34歳の単身者と仮定します。2級地-1には、県庁所在地の多くが当てはまります。
家賃は月3万5000円で、住宅扶助の上限額の範囲内と仮定しました。冬季加算や医療扶助は含めていません。
生活扶助と最低生活費の計算
- 第1類費(20〜40歳・2級地-1):4万3640円
- 第2類費(1人):2万7790円
- 特例加算(1人):2500円
- 生活扶助:7万3930円(経過的加算は0円)
- 住宅扶助(家賃):3万5000円
- 最低生活費:10万8930円
例)2級地-1・34歳の単身の場合 生活保護の最低生活費と最低賃金の月収(2026年10月時点)
- 最低生活費(生活扶助7万3930円+家賃3万5000円):10万8930円
- フルタイム(時給1177円×月168時間):19万7736円
- パート(時給1177円×月65時間):7万6505円
フルタイムなら最低生活費を上回る
フルタイムの額面19万7736円は、最低生活費10万8930円のおよそ1.8倍です。社会保険料や税が差し引かれても、この差が埋まることはありません。
収入が最低生活費を上回るため、この場合は生活保護の対象になりません。「フルタイムでも生活保護と変わらない」というのは、少なくともこの前提では当てはまらないのです。
週15時間のパートなら
月7万6505円のパートなら、収入が最低生活費に届かないため、差額を受け取れる可能性があります。社会保険料や税がかからないと仮定すると、基礎控除2万1200円を引いた5万5305円が収入として認定されます。
最低生活費10万8930円から5万5305円を引いた5万3625円が、保護費になる計算です。パートの収入と合わせて手元に入るのは月13万130円で、働かない場合より基礎控除の分だけ多くなります。
例)時給1177円・月65時間のパートの場合 生活保護を受けながら働くと手元に入る額(2026年10月時点)
- パートの収入(時給1177円×月65時間):7万6505円
- 基礎控除(収入7万5000円〜7万8999円・1人目):2万1200円
- 収入として認定される額:5万5305円
- 保護費(最低生活費10万8930円−5万5305円):5万3625円
- 手元に入る額(パートの収入+保護費):13万130円
最低賃金に近い時給でフルタイムで働くなら、月収は2級地-1の最低生活費をはっきり上回ります。生活保護と変わらないどころか、額面では8万円以上の差がある計算です。
一方で、体調などで短い時間しか働けないときは、働きながら生活保護を受ける選択肢もあります。その場合も、働いた分の一部は基礎控除として手元に残る仕組みになっています。
まとめにかえて
2026年度の最低賃金は全国加重平均で時給1177円となり、フルタイムで働けば2級地-1の単身者の最低生活費10万8930円を大きく上回ります。短時間しか働けない場合も、生活保護では基礎控除があるため、働いた分がすべて保護費から差し引かれるわけではありません。
級地や家賃、年齢によって最低生活費は変わります。収入が足りないと感じたら、住んでいる地域を担当する福祉事務所の生活保護の窓口で、自分の場合の額を相談してみてください。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。