最低賃金に近い時給でフルタイムで働いても、生活保護とあまり変わらないという声があがることがあります。
物価が上がるなかで、働いて得るお金と生活保護の水準のどちらが多いのかは気になるところです。
厚生労働省が2026年9月3日に公表した資料によると、2026年度の地域別最低賃金は全国加重平均で時給1177円になりました。前年度の1121円から56円の引き上げで、10月1日から12月2日にかけて都道府県ごとに順次発効しています。
この記事では、生活保護を受けている世帯の内訳と、最低生活費に足りない分を受け取る仕組みを確かめます。そのうえで、2級地-1に住む34歳の単身者の最低生活費と、最低賃金で働いたときの月収を比べてみます。
【生活保護の受給世帯】「その他の世帯」は15.9%
はじめに、どのような世帯が生活保護を受けているのかを、厚生労働省の被保護者調査で確かめます。
世帯類型別の内訳
2026年3月4日に公表された2024年度の確定値では、1か月平均で164万1902世帯が生活保護を受けていました(保護停止中を除く)。世帯類型別の内訳は次のとおりです。
- 高齢者世帯:90万5933世帯(55.2%)
- 障害者・傷病者世帯:41万2849世帯(25.1%)
- その他の世帯:26万944世帯(15.9%)
- 母子世帯:6万2176世帯(3.8%)
その他の世帯
「その他の世帯」は、高齢者・母子・障害者・傷病者のいずれの世帯にも当たらない世帯です。65歳未満で働ける年齢の人がいる世帯も、ここに含まれます。
前年度の25万8687世帯と比べると、2257世帯増えました。世帯の総数がほぼ横ばいだったなかで、増えた類型の1つです。
生活保護の基本 最低生活費に足りない分を受け取る
次に、生活保護費がどのように決まるのかを、厚生労働省の資料と通知で確かめます。
差額が支給される仕組み
生活保護は、国が定める基準で計算した最低生活費と、世帯の収入を比べる制度です。収入が最低生活費に届かない場合に、その差額が保護費として支給されます。
最低生活費は、食費や光熱費などにあたる生活扶助と、家賃にあたる住宅扶助などを合わせて計算します。住んでいる地域は「級地」という6つの区分に分かれていて、どの区分になるかで額が変わるのです。
働いた収入は全額が差し引かれない
働いて得た収入は、そのまま全額が収入として数えられるわけではありません。厚生事務次官通知「生活保護法による保護の実施要領について」では、勤労に伴う必要経費として、別表「基礎控除額表」の額を収入から控除すると定めています。
基礎控除は、1人目の就労者なら月1万5199円までの収入は全額が控除されます。それを超えると収入に応じて控除額が増え、たとえば収入が月7万5000円から7万8999円なら控除額は2万1200円です。
このほか、社会保険料や税、通勤費などは実費が差し引かれます。新しく継続性のある仕事についた人には、6か月間に限り月1万2900円の新規就労控除もあるのです。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。