【試算】母と4歳の子の生活保護 生活扶助と加算は月13万9410円
ここからは、冒頭の声のような母と子の2人世帯が受け取る生活扶助と加算を試算します。使うのは厚生労働省「生活保護法による保護の基準」の、2026年10月1日から適用されている額です。
試算の前提
3級地-1の地域に住み、母が34歳、子が4歳の2人世帯と仮定します。級地は市区町村ごとに6つの区分があり、どの区分になるかで基準額が変わります。
家賃は住宅扶助として上限額の範囲内で実費が出るため、ここでは含めていません。11月から始まる冬季加算や、医療費にあたる医療扶助も除いています。
生活扶助の計算
生活扶助は、年齢別の第1類費を世帯員ごとに足して逓減率を掛け、世帯人員別の第2類費を加えて計算します。10円未満を切り上げたあとに、1人あたり月2500円の特例加算を足します。
- 第1類費:母(20〜40歳)4万1290円+子(3〜5歳)3万9230円=8万520円
- 8万520円×逓減率0.87+第2類費(2人)3万8060円=10万8120円(10円未満は切り上げ)
- 10万8120円+特例加算5000円(2500円×2人)=11万3120円
3級地-1の2人世帯では、この年齢の組み合わせで経過的加算額は0円です。生活扶助は月11万3120円になります。
母子加算と児童養育加算
ひとり親で子どもを育てる世帯には、母子加算がつきます。3級地で児童が1人の場合は月1万6100円です。
これとは別に、高校修了前の子ども1人につき月1万190円の児童養育加算がつきます。生活扶助と2つの加算を合わせると、月13万9410円という試算です。
例)3級地-1で母34歳・子4歳の場合 生活保護の生活扶助と加算の試算(2026年10月時点)
- 第1類費の合計(母4万1290円+子3万9230円):8万520円
- 第1類費×逓減率0.87+第2類費(2人)3万8060円:10万8120円
- 特例加算(1人2500円×2人):5000円
- 生活扶助:11万3120円
- 母子加算(3級地・児童1人):1万6100円
- 児童養育加算(児童1人):1万190円
- 生活扶助と加算の合計:13万9410円
冒頭の声に当てはめると
冒頭の声の人が3級地-1の地域に住んでいれば、家賃を除いた生活扶助と加算は月13万9410円です。これに上限額の範囲内の家賃を足した額が最低生活費になり、パートの収入として認定される額を差し引いた分が保護費として支給されます。
働いて得た収入は、全額が差し引かれるわけではありません。勤労に伴う必要経費として一定額が控除されるため、パートを続けたほうが手元に残るお金は多くなります。
車については、パートの通勤に使っていて、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に住んでいるなど問9の場合に当たれば、条件を満たす範囲で保有が認められる可能性があります。保育園の送迎は、いまの問答では独立した項目として挙がっていないため、申請の前に福祉事務所へ世帯の事情を具体的に伝えることが大切です。
未就学児を育てるひとり親の自動車保有 要件の見直しを検討
最後に、自動車保有の要件をめぐる最近の動きを確かめます。
10月23日の大臣会見
2026年10月23日の厚生労働大臣の記者会見では、未就学児を育てる一人親世帯で車の保有要件を緩和する方向で検討しているという報道について、記者が検討状況を尋ねました。大臣は、自動車保有の在り方について検討していると答えています。
あわせて、自治体との調整などさまざまな調整が必要になるため、関係機関の意向も十分に踏まえて検討していきたいと述べました。
見直しの中身はまだ決まっていない
会見の時点では、対象となる世帯の条件や、いつから見直すのかといった具体的な内容は示されていません。現在の自動車の扱いは、先ほど確かめた課長通知の問9・問9の2・問12にもとづいています。
見直しが決まれば、厚生労働省から自治体に通知が出されます。生活保護の申請を考えている人は、報道だけで判断せず、決まった内容を福祉事務所で確かめるようにしましょう。
まとめにかえて
生活保護では自動車は資産として扱われ、原則として処分して生活に充てることになります。通勤や通院に欠かせない場合などには、課長通知の条件を満たす範囲で保有が認められます。
母と4歳の子の2人世帯なら、3級地-1で生活扶助と加算は月13万9410円という試算でした。未就学児を育てる一人親世帯の自動車保有の要件は国が見直しを検討している段階なので、車を手放す前に、住んでいる地域を担当する福祉事務所の生活保護の窓口で相談してみてください。
福祉事務所は、市(区)部では市(区)が、町村部では都道府県が設けています。福祉事務所のない町村に住んでいる場合は、町村役場でも申請の手続きができます。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。