iDeCoに加入すると、自分で運用商品を選ぶことになります。ただ、選ばないまま放っておく人もいます。
その場合どうなるのか。実は、何も買われないのではなく、あらかじめ決められた商品が自動的に購入される仕組みがあります。
この記事では、iDeCo公式サイトの資料をもとに、運用商品のきまりを確認します。
【iDeCo】商品を選ばないと自動で買われる
iDeCoでは、運営管理機関が選定する運用商品の中から、自分で組み合わせて運用します。
選べる商品数は3商品から35商品
iDeCo公式サイトによると、iDeCoに加入する時点で、運営管理機関が提示する運用商品の中から運用していく商品を自分で決める必要があります。商品数は3商品から35商品の範囲です。
掛金でどの運用商品をどれだけ購入するかの配分、つまり何パーセントをどの商品に振り分けるかの比率も自分で決めます。運営管理機関は運用商品の説明はしますが、特定の商品を勧めることはできません。
選ばずに一定期間が過ぎると「指定運用方法」が購入される
指定運用方法とは、加入者が運用商品を選択しなかった場合に購入される運用商品のことです。運営管理機関の判断で選定・提示することが認められています。
指定運用方法が提示されている運営管理機関で、加入者が商品を選ばないまま特定期間および猶予期間が経過した場合、指定運用方法を運用商品として選択したものとみなされ、その商品が購入されます。
特定期間は加入後最初の掛金の納付が行われた日から3か月以上、猶予期間はその後2週間以上で、それぞれ運営管理機関が定めます。適用された後でも、運用の指図の変更や商品の変更はできます。
すべての運営管理機関が持っているわけではない
指定運用方法を選定・提示していない運営管理機関もあります。その場合は、加入時に必ず運用の指図をする必要があります。
自分の運営管理機関がどちらなのかは、加入前に確認しておきたいところです。
運用商品は大きく2つに分かれる
選ぶ対象になる商品は、性質の違う2つの種類に整理されます。
元本確保商品と投資信託
元本確保商品は、原則として元本が確保されている運用商品で、所定の利息が上乗せされます。代表的な商品に定期預金や保険商品があります。
ただしiDeCo公式サイトは、利息額を手数料が上回る場合があると注意しています。元本が確保されていても、口座管理の手数料は別にかかるためです。
投資信託は、投資家から集めたお金をまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品です。運用がうまくいけば利益が得られ、うまくいかなければ損失が出ることもあります。
企業型確定拠出年金の研修を担当していた頃、商品を決められず「指定商品のままでもいいでしょうか」と質問されることが少なくありませんでした。
選ばなかった場合に購入される商品(iDeCoでいう指定運用方法)に、当時はほとんどの企業が元本確保型を設定していました。
その頃、日経平均株価は7000円台まで下がったこともありましたが、いまではそれを大きく上回る水準にあります。もし指定商品のままで今まで保有していたら、得られたかもしれない運用益を取り逃がしていたかもしれません。
元本確保型は「減らない」安心がある反面、増える機会を手放す選択でもあります。選ばないことも一つの選択だと意識して、一度はご自身で商品と配分を考えてみてください。
金融機関が破綻した場合の保護
確定拠出年金は加入者が自分で運用方法を選択する制度であり、選択した商品を提供する機関が破綻した場合には、各業法などの規定に基づいて一定額までの保護がなされます。
たとえば預金については、一般の預金とiDeCoで運用指図している預金の残高を合計して、1人1金融機関について元本1000万円までとその利息が預金保険制度で保護されます。
ただし、給付以外には現金で引き出すことはできません。保護されても、その場で受け取れるわけではないという点は押さえておいてください。
商品や配分は後から変えられる
最初に決めた配分は、あとから変更できます。これから拠出する掛金の振り分けを変える方法と、すでに積み上がった資産を別の商品に移す方法があります。
選択した運用商品は原則いつでも変更できます。掛金額の変更が年1回に限られるのとは違い、運用の指図には回数の制限がありません。
ただし変更のたびに手数料がかかる商品もあります。実際の扱いは運営管理機関に確認してください。
加入前に確かめておきたい3つのこと
まず、その運営管理機関が何商品を提示しているかを見てください。3商品のところと35商品のところでは、選べる幅がまったく違います。
次に、指定運用方法を提示しているかどうかを確認します。提示していない場合は、加入時に必ず自分で指図する必要があります。
そして、元本確保商品を選ぶ場合は手数料との関係を見ておきます。利息額を手数料が上回ると、元本は確保されていても資産は目減りします。
「選ばない」まま放置しない
iDeCoの運用商品は、運営管理機関が提示する3商品から35商品の中から自分で選びます。選ばないまま一定期間が過ぎると、指定運用方法を選択したものとみなされ、その商品が購入されます。
商品は元本確保商品と投資信託の2つに分かれます。元本確保商品は利息額を手数料が上回る場合がある点に注意が必要です。
商品を提供する機関が破綻した場合、預金は1人1金融機関について元本1000万円までとその利息が保護されます。加入前に、商品数と指定運用方法の有無を確かめておきましょう。
参考資料
みずほ銀行出身。FP2級保有。確定拠出年金の講師として全国でセミナーに登壇。フィンテック企業広報を経て、現在は株式会社モニクルリサーチにて、官公庁のデータをもとに、年金や資産運用、新NISA、iDeCo等の記事を執筆。