子どもの大学入学が近づくと、入学料や授業料をどこから出すかを考える家庭も多いでしょう。積み立ててきたNISAを取り崩す場合、気になるのが「一度使った非課税枠はどうなるのか」です。
2024年からのNISAでは、売った分の枠は翌年以降に戻ります。ただし、戻るのは売った金額ではなく、買ったときの金額の分です。
ここでは、国立大学と私立大学の初年度に払う費用をNISAから出した場合に、翌年いくら枠が戻るのかを試算します。
※初年度の費用は、文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」の標準額と、「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果」の私立大学(学部)の平均額をもとにしています。
大学の初年度にいくら要る?国立大学は約82万円、私立大学は約151万円
入学の年に払う費用(初年度の学生納付金)は、次のとおりです。
- 【国立大学】約81.8万円(入学料28万2000円、授業料の年額53万5800円)
- 【私立大学】約150.8万円(授業料96万8069円、入学料24万365円、施設設備費17万2550円、実験実習料など)
国立大学の金額は省令で決まった標準額で、実際の額は大学ごとに定めます。私立大学は令和7年度入学者の平均額です。
NISAを売ると非課税枠は戻る?1800万円の枠は、翌年に「買ったときの金額」の分だけ戻る
金融庁「NISAを知る」によると、2024年からのNISAでは、商品を売ると、翌年以降に売った商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税の枠が戻り、再び使えます。枠の種類ごとの扱いは次のとおりです。
- 【非課税保有限度額(1800万円)】売った商品の買ったときの金額の分が、翌年以降に戻る
- 【年間投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)】売っても、その年の枠は戻らない
- 【2023年までのNISAの商品】1800万円の枠の外で管理されている。売っても、2024年からのNISAの枠は増えない
2023年までの一般NISAやつみたてNISAには、売った分の枠を使い直す仕組みはありませんでした。「一度使った枠は戻らない」というのは、この以前の制度の扱いです。
戻る枠は売った額と同じ?値上がり益が2割なら、私立大学の初年度約151万円を売っても戻るのは約120.6万円
初年度の費用の分だけNISAの投資信託を売った場合に、翌年に戻る枠を試算しました。
- 【国立大学・約81.8万円を売る】戻る枠は約65.4万円。値上がり益の約16.4万円分は戻らない
- 【私立大学・約150.8万円を売る】戻る枠は約120.6万円。値上がり益の約30.2万円分は戻らない
※試算の前提:仮に、売る時点で売却額の2割が値上がり益(買ったときの金額が売却額の8割)とした場合。手数料は考慮していません。
例)値上がり益が2割の場合 大学の初年度の費用をNISAから出したときに翌年戻る非課税枠
日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」によると、売ったときに減る非課税保有額は、売却時の時価ではなく簿価(取得価額)で計算します。値上がりしている商品ほど、戻る枠は売った金額より小さくなります。
反対に、値下がりした商品を売った場合は、売った金額より多い枠が戻ります。たとえば100万円で買った商品を80万円で売れば、翌年に戻るのは100万円分です。
SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)出身。証券外務員一種保有。富裕層や法人に向けた資産運用コンサルティングに従事。現在は株式会社モニクルリサーチにて、複数のWebメディアで金融記事の企画・執筆・監修を行う。