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社会保険の加入は10月から週20時間が分かれ目。時給1177円なら週19時間より手取りは月「約1万1000円」減り、週23時間で上回る
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社会保険の加入は10月から週20時間が分かれ目。時給1177円なら週19時間より手取りは月「約1万1000円」減り、週23時間で上回る

将来の年金はいくら増えるかも試算

社会保険の加入は10月から週20時間が分かれ目。時給1177円なら週19時間より手取りは月「約1万1000円」減り、週23時間で上回る
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2026年10月、パートなど短時間で働く人の社会保険の加入条件から、賃金の要件(所定内賃金が月8万8000円以上)が撤廃されました。いわゆる「106万円の壁」がなくなり、勤め先の規模などの条件を満たせば、加入するかどうかは週の所定労働時間20時間が分かれ目になります。

週20時間以上働いて社会保険に入ると、手取りはどれだけ減るのでしょうか。減った分を取り戻すには何時間働けばよく、保険料を払う分、将来の年金はいくら増えるのでしょうか。

この記事では、厚生労働省と日本年金機構の資料で加入の条件を確かめ、2026年度の最低賃金の全国加重平均1177円で働く場合の手取りと、厚生年金の増え方を試算します。

週20時間で社会保険に入ると手取りはいくら減る?時給1177円なら週19時間より月約1万1000円少なく、週23時間で上回る

厚生労働省の「適用拡大 Q&A」は、賃金要件について、令和7年の年金制度改正により2026年10月に撤廃されたと説明しています。いま勤め先の健康保険と厚生年金に入る条件は、週の所定労働時間が20時間以上、学生でないこと、2か月を超えて雇用される見込みがあること、そして勤め先の規模(現在は従業員51人以上)です。

厚生労働省によると、2026年度の地域別最低賃金の全国加重平均は1177円です。この時給で、週19時間(加入なし)と週20時間以上(加入)の月の手取りを比べました。

時給1177円なら、週20時間で加入すると手取りは週19時間より約1万1000円少なく、週23時間で上回ります

時給1177円なら、週20時間で加入すると手取りは週19時間より約1万1000円少なく、週23時間で上回ります
時給1177円のパートの週の労働時間別の手取り(月額)
  • 【週19時間(加入なし)】月収約9万6906円、手取り約9万6906円
  • 【週20時間(加入)】月収約10万2007円、手取り約8万5897円
  • 【週22時間(加入)】月収約11万2207円、手取り約9万5147円
  • 【週23時間(加入)】月収約11万7308円、手取り約9万9021円

週20時間で加入すると、月収は週19時間より約5100円増えますが、社会保険料と雇用保険料で1万6110円が引かれ、手取りは約1万1000円少なくなります。週22時間でも週19時間の手取りに届かず、週23時間で約2100円上回ります。

※試算の前提:40〜64歳(介護保険料あり)、時給1177円、月の労働時間は週の時間×52週÷12か月。保険料は協会けんぽ東京支部の令和8年度の保険料額表(健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金・厚生年金の本人負担分)、雇用保険料は一般の事業の労働者負担1000分の5で計算。所得税・住民税、通勤手当、賞与は含めていません。保険料率は都道府県によって異なります。

毎月いくら引かれる?1万6110円のうち、厚生年金9516円と健康保険・介護保険5964円が中心

週20時間・時給1177円の月収は約10万2007円で、標準報酬月額は10万4000円になります。協会けんぽ東京支部の保険料額表と雇用保険料率から、本人が負担する額を並べると次のとおりです。

  • 【厚生年金保険料】9516円
  • 【健康保険料・介護保険料】5964円(40歳未満は5122円)
  • 【子ども・子育て支援金】120円
  • 【雇用保険料】510円

雇用保険も週20時間以上で加入するため、週19時間と比べると、雇用保険料の510円も新たにかかります。40歳未満で介護保険料がかからない場合、引かれる額は1万5268円で、手取りは約8万6739円です。

一方で、週19時間の年収は約116万2876円で、130万円未満です。配偶者が会社員などで、その健康保険の扶養に入っている人は、週19時間なら扶養のまま働き続けられる水準です。

将来の年金はいくら増える?厚生年金に1年加入すると、報酬比例部分は年約6840円

保険料を払う分、将来の年金も増えます。日本年金機構「報酬比例部分」によると、2003年4月以降の加入期間の報酬比例部分は、平均標準報酬額×1000分の5.481×加入月数で計算します。標準報酬月額10万4000円で加入した場合の増え方を試算しました。

週20時間・時給1177円で10年加入すると、厚生年金は年約6万8403円増えます

週20時間・時給1177円で10年加入すると、厚生年金は年約6万8403円増えます
出所:日本年金機構「報酬比例部分」をもとにナビプラマネー編集部作成
週20時間・時給1177円で厚生年金に加入した場合の年金の増え方
  • 【加入1年】年約6840円
  • 【加入5年】年約3万4201円
  • 【加入10年】年約6万8403円
  • 【加入20年】年約13万6806円

この増え方は、老齢厚生年金を受け取る間ずっと続きます。週23時間で働いた場合は標準報酬月額が11万8000円になり、1年の加入で年約7761円の増加です。

なお、配偶者の扶養に入っている国民年金の第3号被保険者の期間も、厚生年金に加入している期間も、老齢基礎年金の計算では同じように数えられます。勤め先の厚生年金に加入して増えるのは、基礎年金に上乗せされる報酬比例部分です。

※試算の前提:標準報酬月額10万4000円で賞与はなし、2003年4月以降の加入期間として計算しています。年金額の改定は反映していません。

健康保険に自分で加入すると、病気やけがで休んだときの傷病手当金や出産手当金の対象になる

勤め先の健康保険に自分で加入すると、扶養に入っていたときにはなかった給付の対象になります。病気やけがで働けないときの傷病手当金と、出産で休んだときの出産手当金です。

協会けんぽの案内では、傷病手当金の1日あたりの額は、標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2が基本です。標準報酬月額10万4000円なら、1日あたり2313円になります。

厚生年金にも、老齢年金だけでなく、障害や死亡のときの障害厚生年金と遺族厚生年金があります。手取りの差だけでなく、こうした保障が加わる点も、週20時間以上で働くかを考える材料になります。

月約1万1000円の差は「何時間で取り戻せるか」と「何年で年金に返るか」の2つで読む

公的年金の政策を取材していた経験からお伝えすると、短時間で働く人の加入の議論では、手取りが減る額だけが注目されがちです。数字を読むときは、減った手取りを働く時間で取り戻せるのかと、払った保険料が年金としてどう返ってくるのかを分けて見るのが近道です。

今回の試算では、時給1177円なら週23時間で週19時間の手取りを上回りました。週19時間と比べて増える労働時間は週4時間で、月に直すと約17時間です。

年金の側では、週20時間で1年加入すると、報酬比例部分が年約6840円増えます。本人が払う厚生年金保険料は年11万4192円で、同じ額の保険料を事業主も負担しています。

最低賃金は都道府県ごとに違い、保険料率も協会けんぽの支部や健康保険組合によって違います。自分の時給と勤め先の保険料率で同じ計算をしてみると、週何時間が自分にとっての分かれ目になるかが分かります。

週20時間で働くかは手取りの差と年金の増え方を並べ、勤め先に条件を確かめる

2026年10月に賃金要件が撤廃され、勤め先の規模などの条件を満たせば、週の所定労働時間20時間が社会保険に加入する分かれ目になりました。時給1177円の試算では、週20時間で加入すると手取りは週19時間より月約1万1000円少なくなり、週23時間で上回ります。

加入すると、厚生年金は1年で年約6840円増え、傷病手当金などの対象にもなります。勤め先が加入の対象になるか、保険料がいくらになるかは勤め先の担当者に、将来の年金額はねんきん定期便などで確かめながら、働く時間を考えていきましょう。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の保険料や手取り、年金額は時給や勤め先、加入している健康保険によって異なるため、勤め先や年金事務所、加入している健康保険でご確認ください。

齊藤 慧
ナビプラマネー編集部記者株式会社モニクルリサーチ

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