【再検証】去年だけ働いた68歳の父は、いつまで受け取れないか
では、冒頭の父のケースで試算してみます。父は1958年生まれの68歳のひとり暮らしで、保険料を450月納めていて、老齢基礎年金を年約79万円受け取っています。
2025年は半年ほどパートで働き、給与収入は100万円でした。2026年はパートを辞め、収入は年金だけになりました。
給与所得は、給与収入から給与所得控除を引いた額です。2025年分の給与所得控除は、収入が190万円以下なら65万円です。
父の2025年の所得等は、年金収入の約79万円に給与所得を合わせて100万円を超え、基準の92万6500円を上回ります。2026年10月分からの判定には2025年の所得が使われるため、父は不該当になり、12月上旬に不該当通知書が届くことになります。
例)2025年だけパートの給与収入100万円があった68歳の場合 年金生活者支援給付金を受け取れる時期
- 2026年10月分〜2027年9月分:判定に使う所得は2025年、所得等は100万円超で不該当(12月上旬に通知)
- 2027年10月分から:判定に使う所得は2026年、所得等は年金収入の約79万円で再び対象になる見込み(2027年9月ごろに請求の案内)
- 受け取れない期間:12か月、保険料を450月納めた人なら6万3228円
一方、2026年の所得等は年金収入の約79万円だけで、2026年10月分からの基準の82万6500円を下回ります。日本年金機構の案内では、前年の所得が下がって要件に当てはまる人には9月ごろに請求の案内が届き、10月分から受け取れるとされています。
父の場合、受け取れないのは2026年10月分から2027年9月分までの12か月です。保険料を450月納めた人の老齢年金生活者支援給付金は、5620円×450月÷480月で月5269円です。
12か月分では、6万3228円を受け取れないことになります。
冒頭の声への答えは、「去年の収入で決まるため、12月の振込から1年間は止まる」です。ただし、収入が年金だけに戻っていれば、翌年の10月分から再び受け取れる可能性があります。
※試算の前提:1958年生まれ、ひとり暮らしで住民税は非課税、保険料納付済期間は450月で老齢基礎年金は年79万4340円(2026年度の満額年84万7296円×450月÷480月)、2025年の給与収入は100万円と仮定しました。
※給付金の月額は1円未満を四捨五入しています。2027年10月分からの基準額は公表されていないため、2026年10月分からの額で比べています。
※給与所得がある人の所得等の細かな計算は、年金事務所で確かめてください。
不該当通知書が届いたら確かめたいこと
不該当の理由が世帯の状況や手続きの時期にある場合は、受け取れるようになることもあります。日本年金機構のよくある質問から、確かめておきたい点を3つ挙げます。
- 9月30日より後に世帯の構成が変わり、いまは世帯に住民税が課税されている人がいない:請求書を出し直せば受け取れる。請求した月の翌月分からの支給
- 修正申告をして前年の所得が基準以下になった:申告の時期によっては判定に反映されていないことがあるため、年金事務所に相談する
- 通知書をなくした:年金事務所への郵送か、給付金専用ダイヤルで再発行を申し込める
世帯の構成が変わったときは、請求した月の翌月分からしか受け取れません。気づいた時点で早めに手続きをしておきたいところです。
給付金専用ダイヤルの番号は0570-05-4092です。通知書を手元に置いて問い合わせると、話が早く進みます。
まとめにかえて
年金生活者支援給付金は、毎年、前年の所得と9月30日時点の世帯の状況で判定し直されます。結果が変わる人には12月上旬に通知書が届き、12月の振込から反映されます。
前年だけ収入が増えた人は、働くのをやめていても1年間は給付金を受け取れないことがあります。収入が年金だけに戻ったら、翌年9月ごろに届く請求の案内を見落とさないようにしましょう。
通知の内容で分からない点は、給付金専用ダイヤルや近くの年金事務所で確かめてください。
地方公務員・保険代理店出身。証券外務員二種保有。自治体で国民健康保険の賦課や高額療養費、退職に伴う年金切り替え等の実務に従事。複雑な社会保障制度に精通し、現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで年金・貯蓄・退職金等の情報を発信。