総務省の「家計調査」によると、2025年の単身世帯の生活費(消費支出)は月17万3042円でした。年代別に見ると、65歳以上の単身世帯は月15万5782円で、34歳以下や35〜59歳より少なくなっています。
一方、品目ごとに見ると、65歳以上で金額が大きくなる支出もあります。サプリなどの健康食品(健康保持用摂取品)は年1万9010円で、34歳以下の2348円を大きく上回ります。
本記事では、家計調査から65歳以上のひとり暮らしで多くなる支出を整理し、内閣府の「高齢社会白書」から運動や社会活動の状況、公的年金と家計の結びつきを確認します。
単身世帯の生活費は月17万3042円。65歳以上は15万5782円
まずは、総務省「家計調査」の2025年平均の結果から、単身世帯の生活費を年代別に確認します。
単身世帯全体では実質1.5%減
2025年の単身世帯の消費支出は、1か月平均で17万3042円でした。前年より名目で2.1%増えた一方、物価の変動を除いた実質では1.5%減り、3年連続の減少となっています。
年代別では35〜59歳が最も多い
年代別に見ると、34歳以下は月17万7542円、35〜59歳は月19万8488円、65歳以上は月15万5782円でした。
65歳以上の単身世帯は平均年齢が76.7歳で、持家率は85.0%です。34歳以下の持家率は7.8%で、住まいの状況が大きく異なります。
単身世帯の年代別の生活費(消費支出) 2025年
65歳以上で多くなる支出は健康食品・旅行・新聞・園芸・交際費
次に、家計調査の品目別の支出金額(2025年の1年間の合計)から、65歳以上の単身世帯で金額が大きくなる品目を見ます。
健康食品は年1万9010円で、34歳以下の約8倍
サプリなどの健康食品(健康保持用摂取品)は、65歳以上が年1万9010円でした。34歳以下は2348円、35〜59歳は7482円です。65歳以上は34歳以下の約8.1倍(編集部計算)になります。
国内パック旅行・新聞・切り花・園芸も多い
国内パック旅行費は、65歳以上が年1万7222円で、34歳以下(1万4014円)や35〜59歳(5937円)より多くなっています。
新聞は年2万6781円、切り花は年1万2000円で、いずれも年代別で最も多い金額です。園芸用植物と園芸用品を合わせると年6709円(編集部計算)で、34歳以下の416円を大きく上回ります。
親族や知人への贈り物などの交際費も、65歳以上が年12万7261円と、年代別で最も多くなっています。
ジム代はほかの年代とあまり変わらない
スポーツクラブ使用料は、60歳以上が年5055円で年代別では最も多いものの、35〜59歳(4982円)との差はわずかです。65歳以上に絞ると4329円でした。
趣味などの教養娯楽全体では、65歳以上は年21万1350円で、34歳以下(30万2848円)より少なくなっています。65歳以上で増えるのは、旅行や園芸など一部の品目です。
65歳以上の単身世帯で多くなる支出(年額) 2025年
運動習慣のある人は65〜74歳男性で44.3%、75歳以上男性で54.7%
健康への支出が増える65歳以上は、運動にどれくらい取り組んでいるのでしょうか。内閣府の「令和8年版高齢社会白書」で確認します。
75歳以上のほうが運動習慣のある人が多い
白書が引用する厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、2024年(令和6年)に運動習慣のある人の割合は、65〜74歳で男性44.3%、女性36.4%でした。75歳以上では男性54.7%、女性44.4%と、さらに高くなっています。
20〜64歳の男性は27.2%で、65歳以上のほうが運動習慣のある人の割合が高い結果です。ここでの「運動習慣のある人」は、1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上続けている人を指します。
社会活動に参加した人の84.6%が生きがいを感じている
65歳以上で何らかの学習活動に参加している人は28.4%でした。内容は「家政・家事(料理・裁縫・家庭経営など)」が12.0%、「芸術・文化」が10.6%、「パソコンなどの情報処理」が10.4%です。
直近1年間に何らかの社会活動に参加した人のうち、生きがいを「十分感じている」「多少感じている」と答えた人は84.6%で、いずれの活動にも参加しなかった人を23.0ポイント上回っています。
運動習慣のある人の割合と、65歳以上の学習・社会活動
65歳以上の単身無職世帯は、収入の9割超が社会保障給付
こうした支出を支える収入はどうなっているのでしょうか。家計調査の、65歳以上で働いていない単身世帯(高齢単身無職世帯)の家計を見ます。
実収入13万1456円のうち、社会保障給付が12万212円
2025年の高齢単身無職世帯の実収入は月13万1456円で、そのうち公的年金などの社会保障給付が12万212円と91.4%を占めています。税金や社会保険料を差し引いた可処分所得は11万8465円でした。
これに対して消費支出は月14万8445円で、可処分所得を2万9980円上回っています。
収入がすべて公的年金・恩給の世帯は43.4%
高齢社会白書によると、公的年金・恩給を受け取っている高齢者世帯のうち、公的年金・恩給が家計収入のすべてという世帯は43.4%です。
65歳以上の単身無職世帯の家計収支(月額) 2025年
まとめにかえて
2025年の家計調査では、65歳以上の単身世帯の生活費は月15万5782円で、34歳以下や35〜59歳より少なくなっています。一方、健康食品は年1万9010円、国内パック旅行は年1万7222円、交際費は年12万7261円と、65歳以上で多くなる支出もあります。
高齢社会白書では、運動習慣のある人の割合は65歳以上のほうが高く、社会活動に参加した人の84.6%が生きがいを感じていると答えています。
65歳以上で働いていない単身世帯は、収入の9割超を公的年金などの社会保障給付に頼り、毎月2万9980円の不足が出ています。健康や趣味、交際にかけたいお金がどれくらいかを含めて、年金と貯蓄でまかなえる範囲を確かめておきましょう。
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてわかりやすく、また信頼できる記事をお届けします。