10月の下旬、国民年金基金連合会から1枚のはがきが届きましたか。iDeCoの「小規模企業共済等掛金払込証明書」です。
国民年金基金連合会によると、2026年(令和8年)分の証明書は、はがきが10月23日から発送され、電子データは10月21日からマイナポータルで順次発行されています。
筆者は以前、銀行で確定拠出年金の講師をしていました。iDeCoの税金の優遇のうち、掛金が所得から差し引かれる優遇は、会社員の多くがこのはがきを年末調整で出して初めて受けられるものです。
この記事では、まず証明書がどんな書類で、誰に届くのかを確認し、次のページで年末調整での書き方と、出し忘れたときの対応を見ていきます。
【iDeCoの掛金払込証明書】10月下旬に届いたはがきは、年末調整で出す書類
はがきの名前は少し難しく見えますが、役割はシンプルです。何を証明する書類なのかから見ていきます。
掛金の全額が所得から差し引かれることを証明する書類
iDeCoの掛金は、所得税と住民税の計算で「小規模企業共済等掛金控除」の対象になります。国税庁によると、控除できる金額は、その年に支払った掛金の全額です。
この控除を受けるには、掛金を払ったことを証明する書類を、年末調整や確定申告で出す必要があります。その書類が、国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」です。
2026年分は、はがきが10月23日から、電子データは10月21日から
国民年金基金連合会の案内では、2026年分の証明書は、はがきが10月23日から発送されています。
はがきとは別に、電子データも10月21日から順次発行されています。電子データはマイナポータルの「e-私書箱」から受け取ることができ、年末調整やe-Taxでの確定申告に使えます。
届くのは、掛金を自分の口座から払っている人
iDeCoの掛金の払い方には、自分の預金口座から引き落とす「個人払込」と、給与から天引きして勤務先が納める「事業主払込」があります。
はがきが届くのは、個人払込で掛金を払っている人です。自営業やフリーランスの人にも届きますが、こちらは年末調整ではなく、確定申告で使います。
給与天引きの会社員には届かない
事業主払込を選んでいる会社員には、このはがきは届きません。iDeCo公式サイトによると、事業主払込の人の年末調整は、勤務先が毎月の源泉徴収で把握している掛金の額をもとに行われます。
はがきが届かなくても、控除を受けられないわけではありません。勤務先がすでに掛金の額を把握しているため、自分で証明書を出す必要がないということです。
10月以降に掛金を払い始めた人は、届くのが11月以降
今年の10月以降に初めて掛金を払った人には、10月のはがきは届きません。証明書は、初めて掛金を払った月の翌月(11月から翌年1月)に送られます。
届くのが年末調整に間に合わない場合は、確定申告で控除を受けることになります。
ここまでで、はがきがどんな書類で、誰に届くのかを確認しました。次のページでは、はがきが届いた会社員が、年末調整で何を書けばよいかを見ていきます。
【年末調整】iDeCoのはがきが届いた会社員が、申告書に書くこと
ここまで、はがきは掛金を自分の口座から払っている人に届き、年末調整で出す書類だと見てきました。ここからは、実際の書き方を確認します。
保険料控除申告書の「小規模企業共済等掛金控除」の欄に書く
年末調整では、勤務先から配られる「給与所得者の保険料控除申告書」に、はがきに書かれた金額を書き写します。書くのは「小規模企業共済等掛金控除」の欄のうち、iDeCoにあたる「個人型年金加入者掛金」の部分です。
申告書を出すときは、はがきを添付します。電子データを受け取っている場合は、勤務先の年末調整の方法に合わせてデータで出すこともできます。
控除されるのは、1月から12月までに納めた掛金
iDeCo公式サイトによると、毎年1月から12月までに納めた掛金の合計が、その年の控除の対象になります。
注意したいのは、iDeCoの掛金は翌月の26日に引き落とされる点です。1月に引き落とされるのは前の年の12月分の掛金なので、ある年に控除される掛金は、前の年の12月分からその年の11月分までになります。
2026年12月からiDeCoの拠出限度額が引き上げられ、掛金を増やす人もいると思います。ただ、12月分の掛金は翌年1月に引き落とされるので、控除に反映されるのは2027年分からです。
今年のはがきの金額は、増やす前の掛金で計算されています。来年のはがきで金額が増えているかを見ると、増額が反映されたことを確かめられます。
税金はどのくらい軽くなるのか
たとえば、毎月2万3000円の掛金を1年間払った場合、1年分の掛金は27万6000円です。所得税率が10%、住民税率が10%の人なら、所得税と住民税がそれぞれ約2万7600円、合計で約5万5000円軽くなる計算です(復興特別所得税は考えないものとした場合)。
所得税は年末調整で精算され、住民税は翌年の住民税が少なくなる形で反映されます。
出し忘れたら、確定申告で控除を受けられる
年末調整に間に合わなかった場合や、はがきを出し忘れた場合でも、控除を受けられなくなるわけではありません。確定申告で、小規模企業共済等掛金控除を申告することができます。
この場合は、確定申告書にはがきを添付するか、提出するときに提示します。電子データがあれば、e-Taxで申告することもできます。
はがきの金額が、自分の掛金と合っているかを見ておく
はがきが届いたら、書かれている金額が、自分の掛金の月額に払った月数をかけた額と合っているかを見ておきましょう。年の途中で掛金の額を変えた人は、特に確かめておきたいところです。
はがきが届かない会社員は、自分の払い方が給与天引きになっているかを、給与明細の控除の欄で確かめられます。届いた人も届かない人も、年末調整の前に自分の払い方を把握しておくと、手続きで迷わずに済みます。
みずほ銀行出身。FP2級保有。確定拠出年金の講師として全国でセミナーに登壇。フィンテック企業広報を経て、現在は株式会社モニクルリサーチにて、官公庁のデータをもとに、年金や資産運用、新NISA、iDeCo等の記事を執筆。