NISAでコツコツ積み立ててきたお金を、65歳から生活費の足しにしようと考えている方もいるでしょう。気になるのは、毎月いくらずつ取り崩せば、何歳までお金がもつのかではないでしょうか。
取り崩す額や、取り崩している間も運用を続けるかどうかによって、お金が尽きる年齢は10年以上変わります。
この記事では、NISAで貯めたお金を65歳から取り崩した場合に何歳までもつのかを、残高と取り崩す額、利回り別に試算します。
年金だけでは、夫婦で毎月約4.2万円足りない
まず、年金生活でどのくらいお金が足りなくなるのかを確認しましょう。総務省の「家計調査」(2025年平均)によると、65歳以上の無職世帯の毎月の家計は次のとおりです。
- 夫婦のみの世帯:可処分所得22万1544円、消費支出26万3979円で、毎月4万2435円の不足
- 単身世帯:可処分所得11万8465円、消費支出14万8445円で、毎月2万9980円の不足
平均的な暮らしでも、年金などの収入だけでは足りず、貯蓄を取り崩していることがわかります。ゆとりのある生活をしたい場合や、住宅の修繕などの出費があれば、取り崩す額はさらに増えます。
1800万円を月10万円ずつ取り崩すと、何歳までもつ?
NISAの生涯の非課税保有限度額である1800万円を65歳時点で持っていて、毎月同じ額を取り崩した場合に、何歳でお金が尽きるかを計算しました。取り崩している間も、残りを一定の利回りで運用し続けたと仮定しています。
- 月10万円:運用しないと80歳、年3%なら85歳、年5%なら92歳10か月
- 月15万円:運用しないと75歳、年3%なら76歳11か月、年5%なら78歳11か月
同じ1800万円でも、取り崩す額が月10万円か15万円かで、お金が尽きる年齢は5〜14年ほど違います。1000万円を月10万円ずつ取り崩す場合は、年5%でも75歳10か月で尽きる計算です。
取り崩す額が大きいと、運用を続けてもお金は早く尽きる
平均の不足額だけなら、1000万円でも年3%で94歳まで
取り崩す額を、家計調査の夫婦世帯の平均不足額である月4万2435円にした場合はどうでしょうか。
- 1000万円:運用しないと84歳8か月、年3%なら94歳9か月、年5%なら100歳を超えてももつ
- 500万円:運用しないと74歳10か月、年3%なら76歳8か月、年5%なら78歳7か月
毎月の不足を平均並みにおさえられれば、1000万円でも90歳代までもつ計算です。いくら貯めたかと同じくらい、毎月いくら取り崩すかが大切だといえます。
取り崩している間も運用を続けると、もつ期間が延びる
65歳になったら全部売って預金に移す、という考え方もあります。ただ、1800万円を月10万円ずつ取り崩す場合、運用しないと80歳で尽きるのに対して、年5%で運用を続ければ92歳10か月までもちます。その差は12年10か月です。
取り崩しを始めても、残っているお金は20年、30年と使い続けることになります。すぐに使う分を除いて、運用を続けることも選択肢になります。
「定額」より「定率」で取り崩すと、お金が尽きにくい
毎月同じ額を取り崩す「定額」に対して、残高の一定割合を取り崩す方法を「定率」といいます。1800万円から、毎年、年初の残高の4%を12カ月に分けて取り崩した場合を計算しました。
- 65歳:月6万円
- 年3%で運用した場合:84歳で月4万9438円、94歳で月4万4649円(94歳時点の残高は約1339万円)
- 年5%で運用した場合:84歳で月7万2804円、94歳で月8万606円(94歳時点の残高は約2418万円)
定率の場合、残高が減ると取り崩す額も減るため、お金が尽きることはありません。利回りが4%を上回れば、取り崩しながら残高を増やすこともできます。
定率4%なら、年5%で運用できると取り崩す額は増えていく
ただし、定率には弱点もあります。相場が下がって残高が減ると、取り崩せる額も減ります。生活費のすべてを定率の取り崩しに頼ると、毎月の収入が安定しない点には注意が必要です。
NISAで取り崩すときに知っておきたいこと
売った分の枠は翌年に復活するが、戻るのは「買ったときの金額」
金融庁によると、NISAで商品を売った場合、翌年以降に、売った商品の簿価(買ったときの金額)の分だけ非課税保有限度額が復活します。値上がりした分は枠に戻らないため、売った金額と同じだけ枠が戻るわけではありません。
値下がりしたときに多く売らない工夫をする
相場が下がっているときに、決まった額を取り崩すために多くの口数を売ると、その後に値上がりしても取り戻しにくくなります。生活費の1〜2年分を預金に置いておき、値下がりした年はそこから使うようにすると、安いときに売らずに済みます。
まとめ
NISAで貯めた1800万円を65歳から月10万円ずつ取り崩すと、運用しないなら80歳、年3%なら85歳、年5%なら92歳10か月で尽きる計算です。一方、家計調査の夫婦世帯の平均不足額である月4万2435円だけなら、1000万円でも年3%で94歳9か月までもちます。
何歳までもつかは、残高よりも、毎月いくら取り崩すかと、取り崩す間も運用を続けるかで大きく変わります。
まずは、家計簿や通帳から、年金だけでは毎月いくら足りないのかを確かめてみましょう。そのうえで、預金に置いておく生活費の額と、定額・定率のどちらで取り崩すかを決めておくと、65歳からの取り崩しにあわてずに済みます。
免責事項
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一種外務員資格(証券外務員一種)。三菱UFJ銀行や三井住友信託銀行にて、資産運用アドバイザーとして10年以上の経験を持ち、現役世代から富裕層まで延べ1000名以上のコンサルティングに携わる。現在は株式会社モニクルリサーチが運営する複数のWebメディアで金融関連記事を企画・執筆・監修を行う。