2026年10月23日から11月上旬にかけて、日本年金機構が令和8年分の国民年金保険料の控除証明書(書面)を順次送っています。納めた国民年金保険料は、全額が社会保険料控除の対象です。免除などを受けた期間の保険料を後から納める「追納」をした場合も、その保険料は社会保険料控除の対象になります。
ただし、後から納められる期間は、保険料を納めなかった理由によって違います。手続きをせずに未納になった保険料は納付期限から2年、免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間の保険料は10年以内です。
本記事では、未納と免除等で後から納められる期間の違いを確認し、令和8年度中に追納する場合の保険料を年度別に整理し、2年分を追納したときの金額と年金の増え方を計算します。
未納は納付期限から2年、免除等は追納で10年以内
まずは、日本年金機構の案内から、未納の期間と、免除や猶予を受けた期間の違いを確認します。
未納の保険料は、納付期限から2年を過ぎると納められない
国民年金保険料の納付期限は、納付対象月の翌月末日です。納付期限から2年以内であれば納付できますが、2年を過ぎると時効により納付できなくなります。
未納の期間は、老齢基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間に入らず、年金額にも反映されません。障害基礎年金や遺族基礎年金の受給資格期間にも算入されないため、受け取れない場合があります。
免除・納付猶予・学生納付特例の期間は、10年以内なら追納できる
免除・納付猶予・学生納付特例の承認を受けた期間は、追納が承認された月の前10年以内であれば、本人の申し出により保険料を後から納付できます。これを追納といいます。
全額免除の期間は、追納しなくても全額納付した場合の年金額の2分の1が反映されます。一方、納付猶予と学生納付特例の期間は、受給資格期間には入りますが、追納しないと年金額には反映されません。
免除・納付猶予の申請ができるのは、納付期限から2年を経過していない期間です。未納の期間も、2年以内であれば申請の対象になります。
後から納められる期間と年金への反映 未納と免除等の違い(2026年10月時点)
令和8年度中の追納は1カ月1万6770円〜1万7510円
次に、令和8年度中に追納する場合の保険料を、日本年金機構の表から年度別に確認します。
3年度目以降の追納は、当時の保険料に加算額が上乗せされる
免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に、経過期間に応じた加算額が上乗せされます。令和8年度中に追納する場合、令和6年度分と令和7年度分には加算額がありません。
全額免除・納付猶予・学生納付特例の期間を令和8年度中に追納する場合、1カ月分の保険料は、令和5年度分が1万6770円、令和6年度分が1万6980円、令和7年度分が1万7510円です。追納できるもっとも古い平成28年度分は1万6850円です。
半額免除の期間は1カ月8380円〜8750円
一部免除の期間は、免除された分を追納します。令和8年度中に追納する場合、半額免除の期間は1カ月8380円〜8750円、4分の3免除の期間は1万2580円〜1万3130円、4分の1免除の期間は4190円〜4380円です。
なお、令和8年度の国民年金保険料は1カ月1万7920円です。
令和8年度中に追納する場合の保険料(1カ月分) 免除等を受けた年度別(2026年10月時点)
ナビプラマネー編集部の計算:2年分の追納は41万3880円
令和8年度中に、令和6年度と令和7年度の2年分(24カ月)を追納した場合の保険料と、老齢基礎年金の増え方を計算します。
前提は令和6・7年度に学生納付特例か全額免除を受けた人
ナビプラマネー編集部の計算として、令和6年4月から令和8年3月までの24カ月、学生納付特例(または納付猶予)を受けた人と、全額免除を受けた人を考えます。いずれも令和8年度中に24カ月分をまとめて追納するものとします。
年金の増え方は、令和8年度の老齢基礎年金の満額(40年納付・昭和31年4月2日以後生まれ)の年84万7300円をもとに計算します。実際に受け取る額は、受給するときの年度の年金額で決まります。社会保険料控除による税の軽減は含めていません。
保険料は41万3880円、年金は学生納付特例なら年4万2365円増える
追納する保険料は、令和6年度分が1万6980円×12カ月で20万3760円、令和7年度分が1万7510円×12カ月で21万120円、合わせて41万3880円です。2年分とも加算額はありません。
学生納付特例の期間は、追納しないと年金額に反映されないため、24カ月分を追納すると老齢基礎年金は年4万2365円(84万7300円×24/480)増えます。全額免除の期間は、追納しなくても2分の1が反映されるため、増えるのは残りの2分の1にあたる年2万1182円(1円未満切り捨て)です。
例)令和6・7年度の2年分を追納する場合 24カ月分の保険料と年金の増え方
老齢基礎年金を受け取れる人は追納できない
追納には、できない人や納め方の決まりがあります。日本年金機構の注意事項から確認します。
一部免除の期間は、減額された保険料を納めていることが条件
老齢基礎年金を受け取ることができる人は、追納できません。一部免除の期間は、納めるべき一部の保険料を納めていなければ追納できません。
追納は、原則として古い期間の保険料から納めます。免除の期間と、納付猶予・学生納付特例の期間の両方がある人は、納める順番を年金事務所に相談します。
申込書は年金事務所へ。納付は届いた納付書で
追納するには「国民年金保険料 追納申込書」を年金事務所に提出します。窓口のほか郵送でも出せますが、街角の年金相談センターでは手続きできません。「ねんきんネット」で申込書を作ることもできますが、電子申請ではないため、印刷して提出します。
申込書を出すと、日本年金機構から納付書が届きます。金融機関・郵便局、コンビニエンスストア、Pay-easy、スマートフォンアプリで納付でき、口座振替やクレジットカードでは納付できません。追納期限の直前に申込書を出すと、期限までに追納できなくなる場合があります。
国民年金保険料を追納する前に確かめたいこと 対象・順番・手続き・納め方(2026年10月時点)
まとめにかえて
国民年金保険料を後から納められる期間は、未納なら納付期限から2年、免除・納付猶予・学生納付特例の期間なら追納で10年以内です。令和8年度中の追納は1カ月1万6770円〜1万7510円で、令和6・7年度分には加算額がありません。
2年分を追納すると保険料は41万3880円で、老齢基礎年金は学生納付特例の期間なら年4万2365円、全額免除の期間なら年2万1182円増えます。
まずは「ねんきんネット」で、ご自身の納付状況に未納や免除・猶予の期間がないかを確かめてみてください。追納を考える場合は、お近くの年金事務所で追納できる期間と金額を確認できます。
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてわかりやすく、また信頼できる記事をお届けします。