厚生労働省が2026年7月24日に公表した「令和7年度の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、国民年金保険料の最終納付率(令和5年度分保険料)は85.6%でした。前年度から1.1ポイント上がり、統計を取り始めた平成16年度以降で最も高くなっています。
一方で、2年間保険料を納めていない未納者は67万人、保険料の全額免除や納付猶予を受けている人は595万人います。保険料は令和8年度で月1万7920円です。
本記事では、厚生労働省と日本年金機構の資料から、国民年金保険料の納付率と未納者の数、納め方の変化、未納のままにした場合と免除・猶予を受けた場合の違いを整理します。
最終納付率は85.6%で過去最高、現年度納付率は79.6%
納付率は、納めるべき月数のうち、実際に納められた月数の割合です。保険料は過去2年分までさかのぼって納められるため、2年後までに納められた分を含めたものを「最終納付率」と呼びます。
最終納付率は13年連続で上昇
令和5年度分の保険料の最終納付率は85.6%でした。平成22年度分の64.5%から21.1ポイント上がり、13年連続の上昇です。
令和7年度分の現年度納付率は79.6%
その年度のうちに納められた割合を示す現年度納付率は、令和7年度分の保険料で79.6%でした。前年度から1.0ポイント上がり、14年連続で上昇しています。
国民年金保険料の納付率の推移
未納者は67万人。全額免除・猶予は595万人
次に、国民年金保険料を納める国民年金第1号被保険者の内訳を見ます。
第1号被保険者1357万人のうち、保険料を納めている人は695万人
令和7年度末の第1号被保険者は1357万人でした。内訳は、保険料を納めている人が695万人、法定免除・申請全額免除が376万人、学生納付特例・納付猶予が219万人、未納者が67万人です。
ここでの未納者は、令和6年4月から令和8年3月までの24か月、保険料をまったく納めていない人を指します。未納者は前年度から5万人減りました。
公的年金の加入者全体では、未納者は約1%
厚生年金の被保険者や国民年金第3号被保険者などを含めた公的年金の加入者は6759万人です。資料では、加入者全体で見ると未納者は約1%とされています。
国民年金第1号被保険者の内訳(令和7年度末)
スマホ決済での納付は2年で約1.8倍。保険料は月1万7920円
国民年金保険料の納め方は、納付書、口座振替、クレジットカード、スマートフォンの決済アプリ、ねんきんネットを使った納付書によらない納付の5つがあり、いずれも手数料はかかりません。
スマホ決済アプリは410万月に増えた
スマートフォンの決済アプリで納められた保険料は、令和5年度の225万月から、令和6年度は339万月、令和7年度は410万月に増えました。令和5年度から約1.8倍(編集部計算)です。インターネット納付全体でも、888万月から1039万月に増えています。
一方、口座振替は2917万月から2791万月に、コンビニでの納付は2108万月から2028万月に減りました。
現金・クレジットカードでの2年前納は58万件
保険料をまとめて前払いする2年前納は、現金・クレジットカードでの利用が令和5年度の17万件から、令和7年度は58万件に増えました。口座振替での2年前納は26万件です。
国民年金保険料の納付方法ごとの利用状況
未納のままだと障害・遺族基礎年金を受け取れない場合も
日本年金機構は、保険料が納付期限までに納められないと、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない場合があるとしています。経済的に納めるのが難しいときは、免除や納付猶予の制度があります。
全額免除なら年金額の2分の1が反映される
全額免除を受けた期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に数えられ、保険料を全額納めた場合の2分の1が年金額に反映されます。納付猶予の期間は受給資格期間に数えられますが、年金額には反映されません。
未納の期間は、受給資格期間にも年金額にも反映されません。障害基礎年金・遺族基礎年金の受給資格期間にも数えられません。
免除や猶予は、納付期限から2年を経過していない期間までさかのぼって申請できます。免除・猶予を受けた期間の保険料は、10年以内であれば後から納める(追納する)ことができます。
強制徴収の財産差押は2万6859件
日本年金機構は、控除後の所得が300万円以上で、7か月以上保険料を納めていない人を対象に強制徴収を行っています。令和7年度は、最終催告状が16万3419件、督促状が10万389件、財産差押が2万6859件でした。
保険料を納付・免除・猶予・未納にした場合の違い
まとめにかえて
令和7年度の公表で、国民年金保険料の最終納付率は85.6%と過去最高になりました。未納者は67万人で前年度より5万人減り、スマホ決済アプリでの納付は2年で約1.8倍に増えています。
一方、未納の期間は老齢基礎年金の年金額に反映されず、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない場合もあります。免除や納付猶予を受けた期間は受給資格期間に数えられるため、納めるのが難しいときは手続きをしておくことが大切です。
免除や猶予の対象になるかどうかは、所得や世帯の状況によって異なるため、年金事務所や日本年金機構の案内で確かめましょう。
日本生命保険相互会社出身。元マネースクール講師、現役FP(CFP®・1級FP技能士)でJ-FLEC認定アドバイザー。保険から年金、資産運用まで幅広い知見を持ち、「お金の先生」としてわかりやすく、また信頼できる記事をお届けします。